【キ/ヨ】あなたに出逢えて…【短編集】 (ページ9)

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月の光に照らされて2 ページ9

「お願い、もう離して… キヨに私のことを引き止める理由なんて無いでしょ…」

思わず泣きそうになってしまい、私は急いでその場を離れた。キヨに申し訳ないことを言ってしまったと後悔しながら自分の家へ向う。すると電話が掛かってきた。誰からだろうと思いスマホの画面を見るとそこにはキヨと出ていた。
私は心の準備をして電話に出た。

『もしもし』

「もしもし」

『少し話せないか…？』

「いいけど…」

『じゃあAの家の近くの公園に行くからそこにいて』

「分かった」

そう言うとすぐに電話が切れた。思わず会わないかと言われて承諾をしてしまった。きっとここで会わなきゃきっともうキヨとは二度と会えなくなってしまうかもしれない。私はその時は何となくそう思っていた。
私が先に公園に着いて、ブランコに座っているとキヨが走ってこっちへ向かってきた。

『ごめん急に』

「ううん、大丈夫だよ。それで話って…？」

私は覚悟を決めていた。きっともう会えないとか他の人と結婚するって言われるのかもしれないと思っていた。けれどキヨの口から出た言葉は思わぬ事だった。

『もう一度俺とやり直してくれないか…？』

「え…？」

『実は、俺がAに別れようって言った理由はA以外に好きな人が出来たとかそういうのじゃない。俺のばあちゃんが体調崩しちゃってしばらく北海道に戻らなきゃいけなかったからだったんだよ。だから俺はあの時Aには迷惑掛けたくないって思って別れようって言った』

「私に愛想尽かしたわけじゃないの…？」

『Aのこと不安にさせたよな。本当にごめん』

「キヨがあの時急に別れようなんて言うからもうキヨは私の事好きじゃないんだって思っちゃって私本当に辛かった… 今でも私はキヨのことが好きだよ。こんな私で良ければまたやり直して欲しい」

『もちろん。俺もうA以外の人と付き合うなんて無理。Aが好き』

そう言われてゆっくりとキスをした。
2人の姿は月の光に照らされていて、その2人の影がゆっくりと重なっていた。