【キ/ヨ】あなたに出逢えて…【短編集】 (ページ45)

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あなたに出逢えて… 1 ページ45

外からは気持ちの良いそよ風が吹いている。
私の隣には、愛しい彼氏のキヨが気持ち良さそうに寝ている。

「寝顔は可愛いんだけどな…」

そうボソッと呟きながらキヨの頭をそっと撫でる。
私は、部屋に置いてあったアルバムを取り出してサイドテーブルの近くに座って見た。
アルバムを見るだけで懐かしい気持ちになった。写真を見ながら色々なことを思い出す。

「うわぁ…懐かしい…」

そこには私たちが付き合う前の写真が入っていた。
私たちは同じ高校で、高1が終わろうとしていた春に付き合った。私は高1の頃から同じクラスだったキヨが好きだった。アルバムに入っていたこの写真は修了式の日に撮ったものだった。
あの時、クラス全員で写真を撮った後に私がキヨに声を掛けた。

「キヨくん、一緒に写真撮らない…？」

『おう』

そう言われて、2人で初めて撮った。私たちは特別仲が良かったわけではないけれど共通の友達がいたから話したことがなかった訳ではなかった。そんな私たちが付き合えたのはむしろ奇跡に近かった。私とキヨの共通点は何かと言われると家が近いことだった。しかもそれを知ったのは高1の冬だった。
キヨ自身はだいぶ前から私と家が近かったのを知ってたらしい。それがきっかけでたまにではあったけれど、一緒に帰ったりもした。その時にキヨのことをもっと知りたいっていう気持ちが大きくなっていった。

そんな関係をズルズルと引きずって、気付けば私たちは高3になっていた。お互い2年もすればよそよそしさも消えて普通の友達になっていた。そんな私たちは、お互い別々の大学を志望していた。だからこの1年で、キヨとはお別れになってしまうのを分かっていたけれど実際はすごく悲しかった。毎日一緒に帰るのも、もう出来なくなってしまうって考えたくなくて一緒に帰るのを断ってしまったこともあった。今考えれば、あの時キヨには申し訳ないことしたなって思ってしまう。