【キ/ヨ】あなたに出逢えて…【短編集】 (ページ35)

今日:12 hit、昨日:6 hit、合計:14,431 hit

私の全てをあなたに2 ページ35

「うぅ…キヨ…」

私はもう耐えられず泣いてしまった。キヨはそれを見て私を優しく抱き締めた。

「私なんでこんなに男運ないのかな… 私が悪いのかな…」

『Aに悪いとこなんてねえよ。男が最低なだけだろ』

「そうかもしれないけどさ…」

するとキヨはゆっくりと口を開いた。

『なあ、前に約束したこと覚えてる？』

「え…？」

『Aがどうしようもなくなった時に、俺がAのこと貰うって話』

そういえばそんな話をかなり前にしたことをその時に思い出した。むしろ私はキヨが私に向かってふざけて言ったことだと思っていた。

『あれ、本気だよ』

「え…」

『Aのことがずっと好きだった。俺なら絶対にAのこと悲しませない、絶対にAのこと幸せにする』

『だから、俺と結婚を前提に付き合ってくれませんか？』

もちろんおふざけだと思っていた私はびっくりして言葉も出なかった。でも、キヨがそう言った時の表情は本気なのだろうと感じた。

「こんな私だけどいいの…？」

『Aだから良いんだよ。俺は今のAが好き』

サラッとそういうかっこいい言葉を言ってくるから私の顔は赤くなってしまう。キヨなら絶対に幸せにしてくれると信じて私はこう応えた。

「これから彼女として、そしてキヨのお嫁さんとしてよろしくね」