【キ/ヨ】あなたに出逢えて…【短編集】 (ページ15)

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すれ違い始めた関係1※ ページ15

何時からだったのだろう。私たち2人がすれ違い始めたのは。その事にもっと早く気付けていたらきっとこんな事にはなっていなかったのではないか。

『俺ら別れよう』

「うん」

どうしてあの時すんなりとキヨとの別れを受け入れてしまったのだろうか。私はキヨのことが好きで別れたくなんてなかったはずなのに。でもあの時のキヨは何かが違かった。キヨの目にはもう私が映ってはいなかった。それでも私は諦めることが出来なかった。またいつか絶対に私の所に戻ってきてくれると信じていた。心の何処かで大丈夫だと思っていた。けれど現実はそう甘くはなかった。

キヨと別れてから3年が経ったある日のこと。
私が仕事を定時で終わらせて駅に向かった時だった。見覚えのある人が駅で誰かと待ち合わせしていた。横顔を見ただけで分かってしまった私は思わずその場から逃げ出した。キヨが私のことを見ていたことに気付かずに。

急いで家へ帰り、頭をスッキリさせようと思いシャワーを浴びようとお風呂場へ向かおうとした時だった。スマホの着信音が鳴った。
画面を見るとそこには"キヨ"と表示がされていた。恐る恐る電話に出た。

『もしもし』

「もしもし」

『あのさ明日時間ある？』

「え？」

『実はAに伝えたい事があってさ』

「夕方なら空いてるけど…」

『了解、定時にAの会社の前で待ってる』

「分かった」

私がそう言うと電話が切れた。わざわざキヨが直接私に会って言いたいことって何だろうと思いひたすら頭をフル回転させて考えてみるが何も思い浮かばない。もう考えるのを辞めようと思いそのままお風呂に入って寝てしまった。