ウィスキー、ロックで

禁酒23日目 ページ23

レストランはそれはそれは素敵なお店で

グランドピアノがあって照明は控えめで至るところに間接照明が置かれてる感じ(？)
ほんとにこのワンピースで良かったかな


通された席は景色がよく見える一面ガラス張りの窓際

「…遊びすぎたね」

太陽はすでに落ちきって窓の向こうは真っ暗
自分たちが反射して写ってる

「ごめん」

「謝らないでよ〜 海の景色がきれいなお店に行ったら遊びすぎて日が暮れて何も見えなくて窓に反射する自分たち眺めてたって面白くていいじゃん 人生の面白エピソードになったよ」

「ありがと」

「こんな素敵なとこに来たのにお酒飲めないなんてもったいないよね 私帰り運転しようか？」

「平気 お酒はそのうちゆっくり飲もうよ」

「うーん」


テーブルの上のろうそくが笑った吐息で揺れる

こういうお店ってやけに背筋伸ばしちゃうよね
顎とか引いちゃったりして


運ばれて来た料理を 外側から順番にフォークとナイフを使って食べ進めていく
合ってるのかなこれ

次に運ばれて来たお皿に思わず手が止まる
なんて言えばいいんだろう 今までに見たことない食べ物すぎて説明もできない

何これ どうやって食べるの

蝶ネクタイを締めた店員さんがやたらと長い横文字の名前をスラスラ言って説明をして去っていった

調理方法じゃなくて食べ方教えて欲しい

黙ってお皿を見つめて助けを求めるようにチャニを見る

そしたらチャニも同時に私を見て


「ふはっ」


二人して笑った

「ねぇ これどうやって食べればいいの」

少し前のめりになって小声で話す

「俺もわかんない」

小さな子どもが内緒話するみたいに



なんでもないことを話して食べてたらあっという間に食後のコーヒー

「色々と難しかったけどおいしかったね〜」

「今日はちょっと背伸びしすぎた」

「でも楽しかったよ」

「今日はAに助けられてばっかりだった」

「私は今日みたいな日が好きだよ 楽しいより面白い方がなんかいいじゃん」

「はぁ…マジで好き」

「でしょ」

「いや、そうじゃなくて…」

なんか解せないみたいな顔された

「そろそろ行こっか」

そう言ってチャニが席を立つ
私も立とうとカバンを手にとる間に後ろに回ってきてイスを引いてくれる

背伸びしなくても自然な優しさがチャニのいいところだと思う





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