虹色のお話 (ページ35)

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なんとか思い出そうとうんうん唸っていると、聞き慣れた声。

｢淳太くん起きとるやん！おはよう、体調は？食欲ある？うどん作ったんやけど｣
｢照史、おはよう。ちょっとお腹減ったかな｣
｢食欲あるならよかったわ！多めに作っちゃったから無理せんと残してな！｣

残してな、と言いつつ渡されたのは小さいお椀に入ったうどん。

「いただきます…うまっ」
「ほんま！？よかった〜！タカヒロの分もあるで」

ん？ここで食べるん？
ま、ええか。うどん美味しいし。

「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした。体調はどう？」
「昨日よりだいぶマシ」

途端にホッとした様子の照史。
そんなに昨日ヤバかったんかな。
たしかに今と比べようがないくらいしんどかったし、記憶も曖昧やけど。

「昨日倒れたんやんな。ほんまごめん、迷惑かけて」
「全然迷惑ちゃうで！でもな、淳太くん」

急に真剣な表情になる照史。
その横でうどんを食べていた濵ちゃんも。

自然と背筋が伸びる。
そうやんな、体調管理もできやんと倒れるなんてプロ失格や。
怒られる覚悟を決めたところで言われたのは予想もしてなかった言葉やった。

「もっと俺ら頼ってや」
「…へ？」
「1人で頑張りすぎやって言ってんの！」

がんばりすぎ？

「全然分かってない顔しとるやん！」
「場を回すのが大変やったら俺もやるし楽屋でももっと休んでええねんで」
「せやで〜！ご飯食べれんぐらい疲れとるんやったら作ったるし！照史や神ちゃんほどじゃないけどそこそこ作るし！」

そっか。俺疲れとったんか。
もっと頼ってよかったんか。

「淳太泣かんといてや〜！！」
「言い方キツかった！？ごめんなあ！」

慌ててる2人がおかしくて。

「なあ照史？」
「なになに淳太くん！？」

うん、最初のわがまま言ってみよかな。

「うどんおかわりちょうだい」

照史と濵ちゃんがきょとんとした表情で顔を見合わせて、少し後にどんどん笑顔になる。

きっともう大丈夫。