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side 紫
｢淳太〜入るで〜｣
淳太の家に勝手に入るわけにもいかず、病院から1番近い照史の家へ。
冷えピタやタオル、スポドリなど看病セットを抱え、淳太が居る寝室の扉を一応ノックする。
照史は俺らの夕食と淳太のお粥作りの担当。
まだ寝とるかもしれんと返事を聞かずノックをした流れのまま扉を開ける。
引きつったような呼吸音。
慌ててベッドに近づくと腕で目を覆い、荒い息を繰り返す淳太の姿。
いや、車の中での荒い息というより泣いているような、
「淳太！大丈夫か？」
「はまちゃ…？」
「濱ちゃんやで。目赤くなってしまうから腕降ろそか」
サイドボードに看病セットを置き、ベッドに腰掛けて淳太の顔を覗き込む。
声は掠れて小さいし目も水分が多く今にも涙が溢れそう。
目の上においていた袖が濡れていて、泣いていたのかもしれへん。
一先ず目を覚ましたことにほっとして親指で目尻の涙を拭い、首に手を当てる。
「あ〜、まだ首元あっついなぁ」
「…はまちゃんのて、つめたい…」
「そりゃ熱あるからなあ。喉乾いとるやろ、スポドリ飲む？」
「…のむ…」
テンポは遅いけど質問も理解しとるし、解熱剤が効いてきたんかな。
起き上がろうとするのを支えると、そのままガクンと頭を下げてしまう。
「ぐるぐるする…」
「急に起き上がったから貧血っぽくなったんか？体重かけてええからな」
普段人に頼らない淳太が言われるがまま凭れ掛かるあたり、まだまだしんどいんやろな。
しばらくして落ち着いたのか顔を上げた淳太にストローを刺したスポドリを差し出してそのまま咥えさせる。
「よし、飲めたな。」
「ん、ありがと…」
「痛かったりしんどいとこあるか？」
「からだおもくてちょっとあつい…？」
「そかそか、しんどいなあ。気持ち悪くはないか？」
ん〜？って首傾げとるぐらいやから吐き気は無さそうやし、暑がってるってことは熱も徐々に下がってくやろ。
熱が高いわりに出ていなかった汗も滲んできとるし。
涙が我慢できひん痛みとかじゃないのは良かったけど、何が原因なんやろ。
単純に熱が高いから？
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作者名：そると | 作成日時：2022年3月20日 19時
