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意識が浮上する。
どうやらすっかり寝入っていたようで、スマホで確認すると2時間ほど経っていた。
起こさんかい、と悪態をつきながら部屋を見渡し、帰ってきているであろう恋人の名前を呼ぼうとした。
実際、その名前は声になることがなかった。
部屋の中は帰ってきた時のまま、いや机に料理はある。一人分だけ。
1度帰ってきて料理を作ってまた出ていった？
ならなんで起こさんの？
何も伝えんとまた出かけるなんてありえへん。
些細なことも報告してくるような人や。
少なくともLINEはしているはず、と驚きを残したままLINEを開いた。
トークの1番上にあったはずの名前がない。
いや、そんなはずはありえない。
心臓がバクバクとうるさい。手が震える。
名前を検索…出ない。
共通のグループメンバーから…見つからない。
共通のグループトークから…見つからない。
目の前の事実が受け止められない。
いつの間にか降り出した雨の音がやけに大きく聞こえた。
はっとして、慌てて部屋の中を見回った。
途中で何かとぶつかった気がしたが、そんなことはどうでもいい。
お風呂場、歯ブラシ、1本。タオル、1枚。
キッチン、箸、1膳。コップ、ペアのものが片方。
玄関、自身の靴のみ。
目の前が真っ暗になった。
体が揺さぶられているかのようにぐらぐらと揺れる。
存在そのものが消えたかのような現実を受け入れられず、ジュニアの時から10年以上過ごしてきたメンバーに一言だけ伝えた。
じゅんたがきえた
fin.
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作者名：そると | 作成日時：2022年3月20日 19時
