05 ページ5
「かんぱ〜い!」
「初指名、おめでとうー!!」
洒落たダーツバーの隅の方で、小さな丸いテーブルを囲んでグラスを鳴らす。
ドンヘとウニョクは、日曜日の夜はいつもここで飲んでいるらしい。
「今日は先月1位だったウニョクの奢りな!」
「チッ…来月はお前が奢れよな。」
”どうせ家に帰って一人で酒飲むなら今夜は俺らに付き合え”と、無理やり2人に連れて来られたキュヒョンは
なんだか自分が酷く場違いなような気がして、思わずボーダーのシャツの裾を両手で掴んで引っ張った。
「今日のあのお客様、これからもキュヒョンを指名してくれるといいな。」
「そうなるんじゃない?
だって俺が最終チェックに行ったときにはキュヒョンが完璧に仕上げてて、見違えるようにイイ女になっちゃって。」
「お前、なかなかいいセンス持ってるじゃん。」
重低音の音楽が響く店内で、ぼんやりと2人の会話を聞いていた。
自分でも知らなかった。
俺に…、こんなにも隠れた才能があったなんて―。
*
「うわぁ…今までずっと金髪か赤のカラーばっかりだったからよぉ…
こんな落ち着いた黒い髪は照れるっぺ!」
「可愛いですよ、カラスみたいで。」
「おめぇな、カラスを可愛いって思ったことあんのけ?」
赤いロングヘアから黒いボブへと生まれ変わった自分を鏡で見ながら、Aは頬を赤く染めていた。
本当に、Aは都会的な女性へと生まれ変わった。
そしてそれは俺の手が―、自分のこの手が彼女をそうさせたのだと思うと…キュヒョンは今までに味わったことのない感動を覚えた。
ダサいと言われ続けた俺が、この田舎モンの女を変えてやったのだ。
「会員カード、作りますか?」
まだ鏡の前から離れないAの肩に黒い革ジャンを被せて、早々に帰り支度をさせるキュヒョン。
Aは迷わず受付カウンターでボールペンを手に取ると、サラサラと申込書の上でペンを走らせた。
「この住所って…」
ここから2駅程離れたマンション名に、思わず驚いてしまった。
てっきり、この人は今日にでも地元がある田舎へ『俺とお前と味噌汁を』を泣きながら口ずさんで帰るのだろうと思っていたから―。
「今日からここに住むんだべ。
ちなみに仕事は明日っから、この店の近くの花屋に就職すっぺぇ。」
*
230人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「K-POP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
私(プロフ) - toptaeyonさん» わー!コメントありがとうございます!!楽しんで頂けて嬉しいです。最近あまり進んでなくて申し訳ないですが、引き続き笑って読んでやってくださいね〜! (2016年9月28日 23時) (レス) id: 3fead328c0 (このIDを非表示/違反報告)
toptaeyon(プロフ) - はじめまして!ほんとに読んでて楽しくて、書かせていただきます(≧∇≦) 「ヌナキャン」「海女」めちゃ笑いました!続き、読ませていただきますね〜嗚呼楽しい♪ (2016年9月28日 22時) (レス) id: 0dffcaf98a (このIDを非表示/違反報告)
私(プロフ) - ダナさん» ダナさん、わざわざありがとうございます(≧∇≦)大丈夫ですのでお気になさらずに〜♪笑って読んで頂けるのが一番嬉しいです。今後ともお付き合い下さいネ! (2016年5月11日 22時) (レス) id: 3fead328c0 (このIDを非表示/違反報告)
ダナ(プロフ) - 不慣れな為変な場所を押し、評価低く投票してしまった様です。申し訳ありません。面白く、ぎゅを愛おしく感じながら笑って読みました。すぐ続編にもお邪魔します (2016年5月5日 12時) (レス) id: 541ced6024 (このIDを非表示/違反報告)
私(プロフ) - jospさん» 私たちが大好きな残念ギュ(笑)そんなギュさえも愛おしい…。簡単には幸せにしてあげられない私の愛情、相変わらず捻くれてるなぁと思いながら書いてます^^;でもオタカッコ悪いギュが一番カッコいいですよね〜♪ (2016年3月23日 23時) (レス) id: e66d5e162b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:私 | 作成日時:2016年3月1日 20時