“ 貴方の浴衣に溺れたい ” (ページ2)

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○ episode1 ○ ページ2

〜 A side 〜

今日も私の1日は､直属の執事､河名の運転で

英徳へ向かうところから始まる。

「行ってらっしゃいませ､お嬢様｡」

『ありがと』

敷地内に入れば､いつもの大騒ぎ。

「きゃぁAちゃ〜ん♡」

「今日もとっても綺麗ね〜」

「ほんと､さすが桜庭さんだわ♡」

この朝のうるさいような歓声が

なくなる日は来るのだろうか。

そもそも､なんで私が…

すると。

「きゃぁぁ〜!!!」

「ステキ〜!!!」

さっきまでとはケタ違いの声量。

あー。来たな。

F4とかいう4人組

F4のリーダーらしくって
1番怖そうだなって感じの人

道明寺司

甘いマスクでファンも多い。
なんだか1番謎めいてる人

花沢類

茶道の世界で知らない人はいない
F4の中で唯一話したことのある人

西門総二郎

いつも道明寺さんのなだめ役
マダムキラーって噂も聞いた。

美作あきら

これが､私の4人への印象。

この人たちに関わらなければ

平穏に学校を生きていけるんだ。

私の秘密に誰も気づかずに

普通のお嬢様として。

私が望むことなんて､それだけだから。

止むことのない歓声を聞きながら

上手く人集りを避けて

下駄箱へ辿り着いた。

やっぱり､この場所に来ると…

どうしても､息が苦しくなる。

もう忘れたはずなのに…

体は､忘れてくれないんだ。

昨日は久しぶりに

夜まで華道のお屋敷にいて

ちゃんと眠れなかったから

いつもより､息がつまる。

目を閉じて､

深呼吸して。

もう大丈夫､

今の私は。

なんとか抑えて

早足で教室へ向かう。

そんな姿を､

誰かに見られてる

とも知らずに。