サキュバスですがなにか。【３】 (ページ8)

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「こんな彼氏は嫌だ。彼女のスマホをいじりたがる」
「そんなつまんない事言ってないで何か僕に教えてぇ…」

ぐたりと机に溶ける僕を一瞥し、春原さんは苦笑と共にため息を落とす。
僕が冷たい机に頬を押し付けて目を瞑っていると、春原さんが近づいた気配がした。
僕の方に身を乗り出し気味の彼女に、僕は焦点を合わせる。

「…前、Aと遊んだ時、見えたの」

何が。そう僕は聞く。

「Aのスマホのパスワード」

その言葉を聞いた瞬間、僕はがばっと飛び起きた。春原さんの顔は少し浮かない感じだったが、僕は春原さんの話を待つ。

「一か月前の事だから、もうパスワード変わっている可能性はあるけどね。本当は、いくら彼氏とはいえキミに人の大事なパスワードを教えるつもりはなかったんだけど…確かに、最近のAは少し元気がないような気がする。顔は笑っていても心ここに在らず、的な。もしかしたらスマホの中にヒントがあるかもしれないから。多分私よりも瑛一の方がAに寄り添えると思うから、任せたぞ」

ぽつりぽつりと言葉を紡ぐ春原さんに、僕はその話を聞きいる。それと同時に、春原さんのAさんの友達としての思いも理解する。

「あっ、でも一つだけ条件」

春原さんのその言葉に、少しだけずっこける。今、何かのドラマみたいな良い雰囲気だったけど、ちょっと壊れたような気がする。まぁいいけど。