5 ページ6
帆立君が転校してきたあの日から数日。特に目立った事はなく、普通に日常が過ぎていった。
Aさんも何も変わらず。そして帆立君は順調にクラスに馴染んでいった。
けど、いっこだけ。ちょっとショッキングな事があってだな。
それは体育の時間の時の事。お馬鹿な僕は(もう自分で言っちゃうけど)体育の授業で必要な胴着を教室に忘れていってしまったのですね。それで教室に取りに戻ったんだけど…なんと、教室に帆立君がいたんだ。それだけなら、別にいいんだけど、帆立君は驚いた事にAさんのスマホをいじっていたんだ。扉の所から見ただけだったけど、はっきりと分かった。Aさんのスマホには、僕とお揃いの大きいマスコットがついているから。
彼氏の僕でさえ、Aさんはスマホの画面を隠すんだよ!?それなのに何で帆立君がAさんのスマホを使っている訳!?何かただの嫉妬心みたいになってるけど!!びっくりしたの僕は!!
という事で、もしかしたら僕は気づかないうちに、美少年の帆立君に嫉妬していたのかもしれない。
もうそろそろ一人で抱え込むのが大変になってきたので、僕は一番信頼できそうな春原さんに少しだけ話してみることにした。
「春原さーん、ちょっと放課後、いい?」
「えっ、うん。今日は全然大丈夫よー」
少し戸惑ったようだが、その後に見せた力強い笑顔に、僕の心は少しだけ軽くなった。
26人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:稲穂 佳子 | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2019年3月15日 15時