サキュバスですがなにか。【３】 (ページ24)

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「お前は精気を吸われてたんだよ、Aに！」

…Aさんがサキュバスだから？
確かに僕らがまだ付き合う前、Aさんは勝手に僕の家に入り込んで精気を吸いに(?)来ていた。
それでひと騒動あって、まぁその後ごたごたして、今ここまで交際していた訳だが…。

「え、待って。僕、あれ以来、精気を吸われてない。帆立くんの勘違いだよ」
「違うよ。Aはお前が気づかないよう巧みに操って、確かに精気を吸収している。じゃないとサキュバスやインキュバスは生きられないからさ」

僕はぱっとAさんの顔を見た。逸らされる。
別に、僕は精気を吸われた事は怒っていない。そもそも精気を吸われたらどうなるのかすら分かっていなかったけど、体に変化はないから多分大丈夫だし、Aさんが生きられなくなるのも嫌だから。
けど、だけど…。

「どうして、言ってくれなかったの」

僕がぽつりと言葉を落とす。
Aさんはまだ顔を俯きがちにしたまま。

「僕が、拒むと思った？」
「ち、違うっ…」

「じゃあ何で、言ってくれなかったの？僕は今までAさんにずっと素直に接してきた。Aさんもきっと心を許して何でも話してくれていると思ってた。だけど、帆立くんの事も、精気を吸わないと生きられない事も言ってくれてなかったよね。悲しい…悲しいよ、僕」

何だかやりきれなくなって、僕は走り出した。
後ろから2人分の声が聞こえたけど、僕は振り向かなかった。