22 ページ23
「り、利用…?」
Aさんが僕を利用?
いやいや、それは帆立くんが僕らを別れさせるために適当に言ってる事で、だから僕は全然焦る必要はないはずなんだけど。
だけど。
「利用って…」
「瑛一、聞かないで!夕凪はめちゃくちゃな事を言っているだけで」
隣でAさんが焦っている。僕もそうだと思って、帆立くんの言った「利用」という言葉を頭から排除しようとする。けど、なんとなく、帆立くんを見てしまう。
「Aはさ、お前の持つ力を見出して、それで一緒にいるんだよ」
「黙って!」
「僕の…持つ力?」
僕は帆立くんの言葉をつぶやく。僕にはそんな力はないよ。
訳が分からなくて隣にいたAさんを見ると、Aさんは下を向いていた。
「僕って…え、何も力ないよね」
「お前、やけに人の表情から感情を読み取れるだろ」
「うん…まぁ」
最初の方で言ったかもしれないけど、僕は何故かそういう方向には長けている。
いや、今までの話の流れと全然関係なさすぎてみなさん覚えてないだろうけど、僕、人の気持ちにはかなり敏感なほうだから!コイツ嘘ついてるとか思わないで。
「それをAは利用してたんだよ」
「そ、そんなの利用したくても楽々できるもんじゃないでしょ」
僕が反論すると、帆立くんは何がおかしいのかニヒルな笑みを見せた。
26人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:稲穂 佳子 | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2019年3月15日 15時