サキュバスですがなにか。【３】 (ページ21)

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「離してよ！！」
「調子乗るなよ、早く決めろよ！お前が我慢するかあいつが被害を被るかのどっちかだろ」

まさに一触即発。次、どちらかが口を開いたら、取っ組み合いの喧嘩が起こりそうなぐらい厳しい空気が流れていた。

「ていうか、お前が人間らと一緒にいてどうなる。数十年後にはお前だけ置いて行かれるんだぞ。悲しい思いをして、それでも一緒にいたいのか？」
「あなた、もしかして昔、私と同じように…」

Aさんがはっとしてそう言うと、帆立くんは苦しそうに顔を歪めた。
腕の力が弱かったのか、その隙にAさんは帆立くんと距離を取る。

まずい、まだ出て行けないぞ僕。まだ様子を見るしかないのか…？

「あぁ、そうだよ！俺もだいぶ昔、Aと同じように人間と恋をして、友達を作って生活した。けど、年月が経つにつれて姿の変わらない俺をみんなが怪しんださ。そういう事になるんだぞ、A…！！」

帆立くんの大きな声で、はっとした。
一気に彼の思いが伝わってきたような気がして、こっちまで胸が苦しくなる。
Aさんともいつか別れが来るのか…？
信じられない。けど、確実にその未来は訪れるだろう。
けど僕は、やっぱりAさんといたいよ。

「わ、私は…」