サキュバスですがなにか。

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「なんでそんな…」
「えっ？」

Aさんの語尾が聞きとれなくて、少し顔を覗き込むような形で聞き返した。
Aさんは頬を染めて、目を潤ませてこっちを見ていた。

「なんでよ…これ以上一緒にいたらもっと好きになっちゃう…！」

その言葉に、僕の頭はフリーズした。Aさんはまだ顔を赤くしながらも、少し不思議そうな表情になった。いやいや、だってさ。

「好きって何！？初耳なんですけど！」
「はっ…はぁっ！？」

Aさんは顔をさらに赤くして、僕を何コイツ、信じられない…という目で見ている。
だって…だってそうだろ！？
もっと好きになっちゃうって、今まで僕のことが好きだったってことだろ！？
僕はてっきりサキュバスとして僕の精気が良質だから、それで絡んでくれたのかと思っていた。
でも、思っていたのは僕だけじゃ…なかったんだね。

「そんなの僕、聞いた覚えないよ」
「は、ハッキリとは言ってないけど、ほのめかしてはいたじゃん！？」

じゃあ、僕とAさんは両想いだったってこと…？
自然と頬が緩む。何だよ、めちゃくちゃ遠回りしていたじゃんか。

「なっ…なに笑ってるのよ」
「いや、なんか可愛いなぁって思って」

そう言うと、またもやAさんは掛け値なしに顔を噴火させる。
なんだ、結構Aさんって単純だし、めちゃくちゃ可愛いじゃん。

「…は？そういうの…ズルい！ばーかばーか！」
「言っておくけど、バカをバカにすんなよ！？」

そんなカンジでアホ漫才を繰り広げていると、自然に二人で笑っていた。

「てかさぁ…Aさん。こういう風に笑いあうのって超絶簡単なのにさ、どうしてあんなに僕から逃げてた訳？」
「だ、だって――」

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