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｢A？｣
｢へ！？あっ、えっと、好きな人でしたよね！？そ、うですね…っそれなりに居ます、かね｣
自身の背中を冷たい嫌な汗が流れ落ちる。
薄い黄ばんだアイボリー色の髪の毛が生ぬるい風によって撫で回されるのが視界の隅に写る。
ドクドクと速まる鼓動が何故か緊張していることを教えてくれた。
投げられた問いが予想もしていない変化球だったせいで返事ができずに停止した私を不審に思った先輩の声がその場に轟きを見せた。
私の名前をひんやりとしたその声色で告げられる。
それらを耳が拾った瞬間、はっと我に返ることが出来た。
まだまだ真夏とは言い難い季節なはずなのに蒸すような暑さに呑まれたせいで脳がクラクラと揺れ動き。薄暗い夜景をバック画面に月明かりという名前のスポットライトが先輩とその隣で足を止めてしまった自身の姿へと宛てられる。
地面へと零れ落ちていったそれらを掬ってゴクリと飲み込み、己の喉を通り体の奥底へと流れていく感覚を覚える。
咄嗟に問いかけに対して該当する人物は居ないがその場の雰囲気に合わせるためさらりと偽りを口にすると先輩の切れ長な瞳が一瞬だけ鋭さを増した。
そこでやっと脳がさらに仕出かした己の失態に気づき嘆きを漏らす。
強くてかっこよくて誰よりも他人に優しいそんな尊敬している夏油先輩に亜島Aは好きな人を手に入れる為に惚れ薬なんてゲテモノを盛ろうとしている手遅れな人間だと思われてしまったかもしれない。
これは由々しき事態であり、緊急事案である。
自身の脳が警報を鳴らしながら駆け巡り即座に対策提案会議が開かれるも直ぐに適切案なんてものが浮かぶはずもなく、
｢だ、だって、惚れ薬って相手の心を縛っちゃう、一種の呪いみたいじゃないですか！？｣
″そういうの気になっちゃうんですよっ、無いんですかね！？″と付け足すように自分はただ興味があるだけだと必死に言い訳という言葉を並べ尽くした。
情けないと告げるかのように静寂の中に虚しく広がる自身の言霊。
鋭さを見せていた夏油先輩の目が一瞬だけ何か考え込むように伏せられたが直ぐにその黒色と視線が交わる。
自分よりも遥かに身長のあるケースにいれた呪具を肩に担ぎそれらを支えていた手に力をぎゅっと込めた直後、
｢…まあ、聞いた事ぐらいならあるけど｣
″いつも″のように目尻を緩ませながら夏油先輩は私の言い訳に近い問いの返事を口にした。
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うさ - 続きがとても気になりますo(^o^)o (2021年7月13日 15時) (
レス) id: c396716e54 (このIDを非表示/違反報告)
砂時計(プロフ) - こいみさん» コメントありがとうございます。この度は私の作品を読んでくれてありがとうございますっ！！こいみちゃんにそう言って貰えてとても嬉しいですっご期待に添えられるように頑張ります！！お付き合いの程お願い致しますっっ (2021年3月25日 12時) (レス) id: 3e29fdde61 (このIDを非表示/違反報告)
こいみ(プロフ) - こんばんは、コメント失礼します。砂ちゃんのお話が本当に大好きです。夏のお話書いてくれて、すごく嬉しいです!!更新楽しみにしてます、頑張ってください!! (2021年3月23日 23時) (レス) id: 5a5862897c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：砂時計
| 作成日時：2021年3月7日 19時
