君の答えが聞きたい【ツイステ】 (ページ5)

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｢ふふ～｣

｢お姉ちゃんニヤニヤして変な顔｣

変人を見るような目で10歳前後の女の子が私に対して指摘を口にする

女の子の言葉に、お黙り、と口元を更に緩めながら軽口を並べると反対側に居た男の子が引き気味に目を細め怪訝な表情を浮かべた

お見合い当日の今朝、純潔を＂忘れられないほど好きな殿方＂に捧げてきたのだと涙ぐみながら母に事前に準備していた台詞を吐き捨てた

純潔ではないと告げる私を視界に映した母は放心状態に陥りその後、初めて見せたのではないかというぐらいその場で慌てふためいた

あれではお見合いなんて言っている暇ではないだろうと思いその隙をついて、よく訪れている孤児院に雲隠れをしに逃げてきたのが今朝の一連の流れである

何日か分のお泊まりセットを大きめな鞄に詰め込み現れた私を孤児院のおばあちゃん先生は驚いたものの直ぐに迎え入れてくれた

今回のお見合いを男の方から破談させるようにし向けろ作戦はほぼ成功したに近しいと脳は勝利の狼煙をあげている

本来なら、お見合いをしているであろう私が現在、子どもたちに囲まれて孤児院の横にある小さなグラウンドで駆け回っているのだから

そう後は、ほとぼりが冷めるまでここで身を隠しながら仕事に行き、冷めたら自宅に戻ればいいのだ

作り上げられた勝利までの道順が目の前に真っ直ぐ広がる

あと少しで準備やら何やらを用意周到にした母の策略に完全勝利となるのだ

自身の初めて一つで、お見合いを回避でき、貴族の男との望まぬ結婚も防げたのだ。私の完全勝利と言っても間違えないだろう

｢ふふ。私は母に勝ったのよ…っ｣

凄いでしょ

と、緩みきった表情で子どもたちを追いかける

自身の着用しているパンジャビドレスのチェニックが揺れ動く。反動で薄いミルクティー色の髪の毛も波を描く

子どもたちの悲鳴に近い叫び声が遠ざかるのを足を動かしながらつけ回した、次の瞬間

｢A・サリアージュ｣

｢…え？｣

｢年齢は20歳｣

｢国の宮廷魔法士として、治水専門部隊に所属している｣

｢今日、忘れられないほど好きな男に純潔を捧げたためお見合いを急遽破談させたお騒がせご令嬢とは、｣

お前だろ？
詳細に自分についてを語られる

その並べられた文字列に一瞬、息が止まるのではないかというぐらい驚きを覚える。言葉を紡ぐその男の黒色に目が釘付けになる

何故なら、昨夜一夜限りの関係を結んだ、もう二度と会うことの無いはずの男がそこに居たから