今夜もう一度君を抱く【ツイステ】

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｢ふふふ｣


休日ということもあり沢山の人々が行き交う街中をひとり暮らしをしているアパートへと帰るため足を動かす

生暖かい風が自身の水色の髪を揺れ動かす
眩しい日差しが自身の身体を照らしだす


先程、ケーキ屋のお兄さんに話を聞いてもらったおかげなのかモヤモヤとしていたものが晴れてスッキリとした気分で帰宅路を歩いていた直後、どん底へと落とされた



｢…え｣


自身の先をローズハートさんと女性が仲睦まじそうに並んで歩いているのが目に飛び込む


心臓が握りつぶされたかのような痛みを発する


苺のタルトがはいった紙でできた箱をもつ右手に力が込められる


見間違えることなんてない、上司の朱色の髪に灰色の艶やかな瞳を見た瞬間、咄嗟に来た道へと足を引き返す

建物の間に隠れるようにショッピングを楽しんでいるであろう雰囲気の男女から離れる



どういうことだ？
と、思考回路が目まぐるしく働きだす

呼吸が定まらず、乱れを見せ始める


脳裏に焼き付いた男女の姿が脳内で何度も再生される

消したいのに、消えてくれない映像にうわ言のよう言葉にならない声が溢れる


見覚えのある女の子の横顔に記憶が呼び起こされる


たしか、あの子は私と同期で入社した受付の女の子だった気がすると思考した脳が呟く

その瞬間、何かが私の中で弾け飛んだのを感じた





｢…結局、私も…｣


彼にとって、一夜の関係を持った遊び相手の1人にかわりがないのだろう


からからに渇いた自身の独り言が活気立つ街並みの風景に零れて溶けて消えていく


熱い日差しが頬を照らし、生暖かい風が自身のおろしている薄い水色の髪を撫でる


たった一夜、体の関係を持っただけで

あの女に興味のない人で有名な上司に選ばれたからってだけで


もしかしたら、彼に好意を寄せられてるのかも、なんて意識してしまった自分が馬鹿みたいだ


実際は、私も遊び相手の1人に過ぎなかったのだろう

飽きたらすぐに取り替えの効くそんな都合の良い女だったのかもしれない



そう、結論を導き出した脳が酷く歪みを見せる
答案用紙に記入された答えが濁りを感じさせる


じくじくと痛みを発言する胸を服の上から宥めるように手を添える

この胸の痛み、ドロドロと渦巻く気持ち悪い感情、代替品扱いを受けた事実が気づきたくなかった彼への想いを知らしめる



きっと、その時の私はどうかしていたんだろう

気がつけば真っ直ぐに朱色の持ち主の所まで走り出していた

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