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「んん…っあ、れ」


閉じられていた瞼に力がはいる

遠のいていた意識がゆっくり浮上していく感覚が駆け巡る

少し固めのソファーの感触が横に寝転がっているためか背中全体に広がる


固く閉じられていた目をゆっくり開くと視界の隅に夕日のオレンジ模様が映る


最大で10時間は眠る魔法薬を飲んだはずなのにまだ夕方?
それとも、1日経ってしまった系か?


どちらにせよ大きな疑問が思考を埋めつくした、その直後、



「ばぁっ、おはよぉ〜マナティちゃん」


しゃがみこむ形で寝転がっていた私を見下ろすウツボの片割れ、フロイド・リーチと視線がガッチリと重なった


夕日をバックに円を書くように微笑むその男は、よく寝たぁ?と、甘ったるく言葉を吐き捨てる


黄色とオリーブ色の瞳が歪む
右耳につけられている海色のピアスが揺れ動く


まだハッキリとしていない思考が危険信号をチラつかせる


なぜ、彼がオンボロ寮に居るのか
なぜ、私がここに居るのを知っているのか



脳が嫌な予感を並べ出す

奴に噛まれた跡達が痛みをあげる




「フ、フロイド…、なん…」


なんで、ここに居るのか

そう問いかけようとしたがその言葉はウツボに遮られて最後まで言わせてもらえなかった。




「ねぇ、マジカルシフト大会ちゃんと観に来たぁ?」

「……」

「マナティちゃん。なんでこんなところで寝てるのぉ?」

「…っ」


自身の顔が大きく歪む
ドクドクと心臓が歪な音を発する


嘘をついていたことがバレたのだと目の前のウツボの表情を見た瞬間、即座に感じとった


打開策を考えるも何も浮かばずグルグルと思考が働き続ける

彼の真っ直ぐ突き刺さる視線から逃げるように。




「で、もちろんマナティちゃんは何か言うことあるよねぇ〜?」


寝転がったままの状態で捕食者に見下ろされている状況が続く。

その直後、目の前の男が動き出す。


伸びてきた手に抵抗虚しく首を捕まれる


ギリギリと効果音をたてながら奴の大きな右手に締めあげられる


痛みと息苦しさが混じり合う
視界が自身の涙で滲み出す



「…っ、や、…め」


必死に奴の手から解放されようと両手でフロイドの右手を押し退けるがビクともしない


苦しさのあまり言葉にならない声が溢れる




「ねぇねぇ。A」

「これ、なぁ〜んだ?」


男の言葉に合わせて視線を指示された左手へと向ける


そこには、予備用にと作っておいた最新作の魔法薬もとい惚れ薬のはいった瓶が握られていた

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よる - おちた( ˙-˙ ) (2020年7月27日 23時) (レス) id: 68950930bb (このIDを非表示/違反報告)
砂時計(プロフ) - 桜雪さん» さっそく覗きに来て下さりありがとうございます!!!こちらこそありがとうございますですよっっ!!これからも何卒よろしくお願いいたしますヽ(*^^*)ノ (2020年6月15日 19時) (レス) id: 47df7c7bae (このIDを非表示/違反報告)
砂時計(プロフ) - 眠り猫さん» この作品を読んでくださり、またコメントをしていただきありがとうございます!!!そう言っていただけて嬉しいかぎりです(;▽;)これからも未熟な作品ですがお付き合いよろしくお願いいたしますっ! (2020年6月15日 19時) (レス) id: 47df7c7bae (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - あ、もう好き即お気に入りしましたありがとうございました(落ち着け) (2020年6月15日 2時) (レス) id: ef0eaf48d3 (このIDを非表示/違反報告)
眠り猫(プロフ) - おもしろい〜!更新頑張ってください!楽しみにしてます (2020年6月15日 1時) (レス) id: c0bdd88e08 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:砂時計 | 作成日時:2020年6月14日 23時

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