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「1人で飲めないなら飲まして差し上げますよ」

「い、いいですっ!!」

「遠慮しなくてもいいんですよ?僕とAの仲じゃないですか」

「どんな仲だっ!?」


私が腰を下ろしていたソファーの隣の空き部分に同じように座り込んだウツボは強行手段に出始めた


机の上に他の魔法薬と共に並べられた惚れ薬の瓶が視界の隅に映る

遠くで時計の針が忙しく走り回る音が聞こえる

私の言葉と彼の言葉が行き交い、飛び交う


魔法薬もとい睡眠薬を左手に持ちつつ右手で私の左手首を離さないジェイド

力強く、男の体の方へと自身が引っ張られる

彼の大きな指から自分より低めの体温を伝わり始める


このままでは、力任せに魔法薬を口にねじ込まれかねない

体が、全てが危険に対して叫び声をあげる


埒が明かない現状に思考が覚悟を決める






「きょ、今日のマジカルシフト大会が、終わったら寝るよ…っ!」


だから、今は寝ない。

迫り来る危機にどうにでもなれと言葉を吐き捨てる

緊張と恐怖で高鳴る鼓動
つられて震える声で言葉を紡ぐ


このままでは、無理矢理にでも眠らされてしまうかもしれない

なら、別でクマノミ先輩にこの魔法薬を届けるための手段を考えた方が賢いだろうか


思考を別の方向へと切り替えようとした次の瞬間、



「マジカルシフト大会を観に行きたい、ということですか?」


彼の方から掴まれていた手首が解放され驚きの色を含んだ答えが返ってきた

想定外であったジェイドの行動に一瞬、呆けてしまったが、すかさず好機だと思考が手を挙げる



「そ、そう!!観に行きたいの!!オクタヴィネル寮の応援に…!!」


本心とはまったく違う言葉がつらつらと吐き出される。必死に表情を取り繕う。


何かを考え込むように私から視線を外すジェイド

口元へと指が優雅に添えられる



お願いします
私に構わず放っておいてくれるだけでいいんですよ

言葉には出さないが自分の願望が脳内放送される



「まあ、そういう事でしたら…、いいでしょう」

「ほんとう!?」


ありがとう


ジェイドの答えに嬉しさのあまり無意識に口角が緩む

お礼の言葉を伝えると彼も答えるように優しく微笑んだ




ジェイドから、

他の男と2人っきりにはならないこと
途中で眠たくなるようならきちんと寮に帰宅して眠ること

を、条件にマジカルシフト大会に行くことのお許し?を貰った

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よる - おちた( ˙-˙ ) (2020年7月27日 23時) (レス) id: 68950930bb (このIDを非表示/違反報告)
砂時計(プロフ) - 桜雪さん» さっそく覗きに来て下さりありがとうございます!!!こちらこそありがとうございますですよっっ!!これからも何卒よろしくお願いいたしますヽ(*^^*)ノ (2020年6月15日 19時) (レス) id: 47df7c7bae (このIDを非表示/違反報告)
砂時計(プロフ) - 眠り猫さん» この作品を読んでくださり、またコメントをしていただきありがとうございます!!!そう言っていただけて嬉しいかぎりです(;▽;)これからも未熟な作品ですがお付き合いよろしくお願いいたしますっ! (2020年6月15日 19時) (レス) id: 47df7c7bae (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - あ、もう好き即お気に入りしましたありがとうございました(落ち着け) (2020年6月15日 2時) (レス) id: ef0eaf48d3 (このIDを非表示/違反報告)
眠り猫(プロフ) - おもしろい〜!更新頑張ってください!楽しみにしてます (2020年6月15日 1時) (レス) id: c0bdd88e08 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:砂時計 | 作成日時:2020年6月14日 23時

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