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「ねね。今からランニングいくの？」
「……」
「私も行くんだけどついて行ってもいい？」
「……」
「じゃあ、ついていこー」
朝の6時。
まだ、みんな寝静まっているであろう閑散とする家の中に私の声が木霊する。
動きやすそうなジャージ姿で玄関に向かう少年に問いかけを投げつけてみる。
心底嫌そうな表情で睨まれたが無言は肯定と見なす。
置いていかれないように自分の靴紐をきゅっと強く結び直し、玄関から外へと進んでいく焦凍くんについて行った。
家から外へ飛び出す。
蝉の声が近くで聞こえ始める。
眩しい朝日が体全体を突き刺す。
暑い熱風が頬を撫でた。
「…っ、あっっついね」
「……っ」
轟家の表札を横切った瞬間から走り出す彼
そんな彼の隣に並ぶように自身も走り出す。
足を動かしながら声をかけるがやはり無視されてしまった。
視界の端で赤色と白色が揺れる。
涼しい顔でコンクリートの地面を蹴る姿
同じ高さのはずの目線は全く交わりはしない。
何処かを見つめる視線に寂しさを感じた。
「ねえねえ、焦凍くん」
「焦凍くーん」
「轟Jr」
「…っ変な呼び方すんじゃ、ねえ」
走り始めて、だいぶ経っただろう。
沈黙の中ただ足を動かすという作業に飽きたと呟く思考。
その欲求に素直に従うため隣を少し疲れた色を見せながら走る彼にぶつけることにした。
久しぶりに聞いたであろう小学6年生にしては、まだ声変わりをしていない高い声に頬が緩む。
「やっと、返事してくれた」
歓喜のあまり頬の緩みを抑えることが出来ない。
自分でも変な顔をしているであろうと予想しつつも赤色と白色を見つめる。
「ねえ、少し休憩しない？」
かなり走ったであろう、距離を振り向きながら伝える。
夏の日差しが体を蝕んでいく。
指で示した公園を見つめるオッドアイ。
「…息切れひとつしてねえくせに」
「そんなことないよ。疲れた」
「少しだけな」
君と少しお話したかったっていうのが本音なんだが。
喉の奥から込み上げそうになった本音をそっと押し返して飲み込む。
公園へと足を踏み込む少年について行った。
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砂時計(プロフ) - yuikaさん» コメントありがとうございます。この度はこの作品を見つけて下さり嬉しい限りでございます。そのお言葉を糧に細々と更新をしていこうと思ってますっ、これからも何卒お付き合いのほどお願いします(〃▽〃) (2021年8月19日 20時) (
レス) id: 3e29fdde61 (このIDを非表示/違反報告)
yuika(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！思わず一気に読んでしまいました、、、！これからも頑張ってください！！！ (2020年3月29日 15時) (レス) id: 090e0c37e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：砂時計
| 作成日時：2020年1月21日 1時
