手のかかる後輩くん【二口堅治】

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「おっせーぞ、葉鳥」

「どうしたの？なんかあったの？」

「作業服のままって…」




体育館の靴箱に
自身の履いていた靴を投げ捨て


体育館内に滑り込むと




ちょうど、休憩を始めたばかりの部員たちが水分補給をしていた。





目の前に映った3年


鎌先、茂庭、笹谷が順番に言葉を吐き捨てた。



走ってきたせいか

アップを行ったばかりの皆と同じように

頬に汗が溢れそうになった。




正常ではない呼吸を落ち着かせながら


謝罪をすると




大丈夫だよ

と、優しく茂庭は笑ってくれた。








「で、なんで作業服のまま遅刻してきたんだ？」


スポーツドリンクの入った
ボトルを口に付けながら


笹谷が口を開いた。



ここは、あんまり怒られたくないし
穏便に済ませようぜ、計画で行きましょう。



ということで




「……、先生が教えてくれなかったから」





と、さらっと
遠くを見つめながら答えると





「なわけないだろ！？」



笹谷の隣で壁にもたれるように座っていた

茂庭が反射的にナイスなツッコミをしてくれました。




だってさ、
変な後輩にマスク取られそうになったことを悩んで時間見てなかった


なんて言えないじゃん




だけど、やはり茂庭はお母さんなようで




「なにかあったんなら後で聞くから」

「ドリンク作ってくれた作並と黄金川にお礼言ってきなさい」




柔らかい笑顔で慰めてくれました。



そんな主将にうんと返事をし

1年生のところへと向かおうと腰を持ち上げた。

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