手のかかる後輩くん【二口堅治】

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「ふあ…っ」


学年が変わり
見慣れない教室へと欠伸をしながら足を進める



私のクラスはD組
残念なことにバレー部と同じ人は居ない。





私の将来の夢は建築デザイナーになること

そのため建築科のある伊達工業に来たのだ。



父が建築士
母が建築デザイナー


両親の影響を色濃く受け継いだのだろう



家はここからけっこう遠いため

父の顔見知りの人のところでマンションを借りて一人暮らしということをしています。





階段をのぼりながら
部活で使うビブスがあるかどうかを確認する。



暖かくて心地いい日差しが

髪の毛を束ねているためか晒されている首元を撫でる。


マスクに影を落としていった。





窓際の一番前の席


そんな自身の席に座り

授業で使う作業着の入った袋を机の横にかける




春らしい暖かい日差しが
またもやここでも私を直撃する




自然に欠伸が漏れる。




昨日、あの生意気な後輩二口に

マスクを取られそうになってからなんとなく避けて帰宅したが




あのくそ生意気で
性格のねじ曲がった後輩が




「次、マスク取ろうとしたら…、しめあげるから」



なんて、
たった一言の忠告を聞くはずがないだろう



なにかしらの対策を立てないといけないかな。







別に彼らに対して
壁を作っているわけではない


むしろ、信じている。






3年のみんなには
マスクをしていることの理由をちゃんと伝えてる


その主旨を理解した上で私をバレー部に誘ってくれた。




そろそろ自分から歩み寄らないと駄目だと思っているのだが





まだ、どこかで怖がっている自分と


二口に負けたくないと思う自分が居る。






でもなぁ…





なんて云々考えていたせいで
今日はかなりの寝不足気味なのである。

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