手のかかる後輩くん【二口堅治】

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「第一、顔だけなら別に先輩、そこまで可愛くないですし」



「…なっ！！」




ムッとした表情で

私に向き直る後輩



奴の言葉にさっきまで溢れていた涙がピタリと止まる。




二口のなかで可愛くない、私


その言葉がすごく胸に突き刺さる。





「別に先輩の顔、好みじゃないです」


「っ…」


「顔で好かれるって自意識過剰ですか」


「……っ」


「馬鹿なんじゃないんですか」




「…っう、るさっ」

「そんな先輩が俺は好きなんですけどね」




「…え？」




散々、罵られ
私のガラスのハートはボロボロで



我慢の限界でうるさいと言葉を投げつけようとした瞬間




耳を疑うような言葉が彼の口から零れた。




ぱっと、見上げると

私から視線を外したまま赤くなる二口の姿。




思考が真っ白になる。


どくんと大きく跳ねる心臓。




これって私



「期待してもいいの？」


「…どうぞ？」


「でもっ、さっき好みじゃないってっ！！」


「好きだから可愛く見えるだけです」





真っ赤に染め上がる、頬
耳まで熱くなる


彼のストレートの言葉に恥ずかしくなる。




お互いムッとした表情のまま黙り込む。






「ねえ、先輩」



そんな沈黙を破ったのは




「キスしたい」




手のかかる後輩でした。

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