手のかかる後輩くん【二口堅治】

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「お疲れ様です」



外の色はすっかり暗闇に染まり

体育館から漏れる電気が木々の桜の葉が散って行ったなにもない枝に光をつける。






部活が終わり
汗を拭く部員達に



ドリンクの入ったボトルを手渡す。





「青根君、ナイスブロックだったね」



私よりはるかに高い
2年生の青根君にボトルを渡し問いかけると




コクント頷き返してくれた。






さて、1年生の子のところに行ってから

ビブスを回収しよう




と、思い体を動かそうとした次の瞬間






「葉鳥先輩、ちょっといいですか」


「っ！」




自分の真後ろで吐かれた言葉

瞬時に加速を始める鼓動

頬に集まる、熱




なぜか、急激に苦しくなる胸。





ちらりと
後ろを振り返ると



ビブスを片手に口を尖らした二口が立っていた。




彼の視線を外したその横顔にさえも
妙に色っぽさを感じてドキドキ言い出す、心臓。





これも

全て、茂庭が変なことを言い出すから



変に二口を意識しちゃって


まともに顔も見れない。









ヘルプという意味と
怒りの視線を


茂庭に向けると




「…っ」




さっと、笹谷のほうに逃げて行った。

あいつ、マネージャーを売ったぞ。




騒がしい体育館内

ドキドキとうるさくなる鼓動








彼の視線に私は頷き返すことしかできなかった。

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