アップルパイより甘いもの【孤爪研磨】 (ページ6)

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そんなことない

さっきより
強めに吐き出された言葉

そんな自分の言葉がとてもクリアに響いた。

自分でもわかる

いま、とても嫌そうな顔をしてしまった。と。

作った笑顔をちらつかせながら呟く思考。

このまま、彼の間違いだと言い通そう

なんて思っていた次の瞬間

「そうやって…、偽って、、楽しい…？」

「…は？」

全てを見透かしたような

彼の瞳が私の体を突き刺した。

重たい、言葉が

私の体から自由を奪う。

静かな教室内に彼の声が木霊する。

オレンジ色の夕日のせいで
彼の幼い顔に影が伸びる。

「別に偽ってないし…っ」

なぜか加速し始める鼓動
焦りだす、思考

孤爪君から視線を外しながら答える。

冷静にこの状況を処理するためにブレーキをかけないといけない

そう、脳から赤信号が示されるが

なぜか、身体は言うことをきいてはくれない。

「毎日がつまらないなんて、顔…してる」

彼の口から吐き出された

その一言

たった一言が私の今まで作り上げてきた壁に穴を開けた。

「っっ…、、なんなの…あんた」

楽しい？

楽しいわけないじゃん。

つまらない？

つまんないよ、こんな毎日なんて

いつからこんな捻くれたことしか考えられなくなったの？

私が頑張ることを諦めたから

苦そうに表情を歪ませながら言葉を吐いた私を見て

少し驚きの色を見せた孤爪君は

「いつもそのままで居たら…いいのに」

と、控え目に私から視線を外しながら答えた。