アップルパイより甘いもの【孤爪研磨】 (ページ5)

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「……」

「……」

かれこれ

数十分も沈黙が続く

最初はなんとなく質問をしていたが

「新しいクラス、どう？」
「……べつに、ふつう」
「好きなことは？」
「とくには……ないかな」
「修学旅行とか楽しみだよねっ」
「べつに、、」

問いかけるが
答えはあっけなく終わるものばかり

私があなたになにをしたのだろうか

と、疑いたくなるほど彼の態度は素っ気ないものばかりだった

結果

諦めるという選択肢を選んだ

その後が今に至るのだ。

パチパチ、と
ホッチキスを止める無造作な音が響き続ける

全身にのしかかる

沈黙という名の重たいもの。

本当に世界は息ぐるしい

小さく心の奥底へと吐き出される

言葉。

が、次の瞬間

「ねえ」

「……いつまで、、その嘘吐き続けるの」

控え目な言葉が私の耳を貫いた。

ぱっと
手元から目を離し

目の前のプリン頭に目を向ける

思考が驚いたためか

否定の声が遅れて木霊する。

「え？……なんのことかな」

やだな、孤爪君ったら

なんて笑い声を混じりながら彼へ言葉を返すが

「あきらかに、、愛想笑い……」

彼の冷え切った目は

私の目を見たまま離そうとはしなかった

そんな孤爪君になぜかドクンと大きく脈打つ鼓動

なぜか彼に見られると

舐めまわされるかの如く観察されているみたいで

少しだけ、表情が崩れてしまった。