アップルパイより甘いもの【孤爪研磨】 (ページ4)

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「……っ」

「……」

息するのが辛いぐらいの沈黙が

夕日でオレンジ色に染まる教室内を支配する

目の前に座り
黙々と担任から押し付けられた

プリントの山へとホッチキスを片手に手を伸ばす

プリン頭の孤爪君

なぜ、こんなことになったのかと言うと

遡ること数時間前

「……先生、なんですか」

教卓の目の前に呼び出された

私とプリンみたいな特徴的な髪型の人

なぜ、呼ばれたのかなんて見当もつかず

頭にハテナマークを浮かべながら

担任に問いかけた。

すると、奴は

「今日からお手伝い係の２人には俺の仕事を残って手つだってもらう」

と、

決まった

と、でも言いたげな表情を浮かべながら

高々と私たちに向って言い放ったのだ。

静かな室内に

「「……は？」」

重なる、言葉

隣から聞こえた息ぴったりの小さな男の声に

反射的に
ばっと横を見ると

彼もなぜか私へと視線をちらりと向けていて

視線が絡まる

すると、担任はそんな私と彼を交互に見つめながら

「じゃ、仲良しの２人に任せたからな！」

と、捨て台詞と
大量の授業で使われるであろうプリントとホッチキスを残して

走り去って行った。

担任の足音が遠ざかっていく

再び静かに戻る、教室内

小さな溜息を

彼にばれないように吐き捨て

「しょうがない、ちゃちゃっと終わらせよっか」

作った、笑顔で

同じお手伝い係りの孤爪君へと言葉を吐き捨てた。