アップルパイより甘いもの【孤爪研磨】 (ページ3)

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「はーい。じゃ、今日はもう終わり」

礼っ

と、短い文を吐き出し
身支度をし始める、担任

周りのクラスメート達は

声を漏らしながら立ち上がり

それぞれに、言葉を吐き出す。

そんな中

当の私は

自分は指名されないと高を括っていたせいか

驚きのあまり思考が停止

その場から動けなかった。

が、

次の瞬間

「……ねえ。先生……呼んでるけど」

と、

小さな消え入りそうな言葉を吐き出す

男の子が視界に入った。

目の視点が
顔へと向けられる。

頭を持ち上げながら

その声の持ち主を

穴があくほどまじまじ見つめる

「……あっ。ありがと！」

明るい金色の髪の毛で
上だけが黒という

かなり近寄り難いというか

特徴的な髪型？の男の子が

立っていた。

怖い雰囲気を醸し出す彼に

いつものお得意の作った笑顔でお礼を言うと

ふいっと

すぐに目を逸らされ

急ぎ足で担任の居る教卓の方に歩き出していった。

奥歯をぎゅっと噛みしめる。

勇気を振り絞って笑顔を作ったのに。

だから、人と関わるのは怖いんだ。

「おーい、武田ー！」

心の中で悪態を吐いていたら
いきなり、担任に呼ばれたので

「……っあっ、、はいっ！いきます」

急いで

足を動かした。