俗に言う幼馴染ってやつです【赤羽業】

△07．ババ抜き ページ9

「はーい。またAの負けー」

「ほんと。馬鹿すぎでしょ」



手元に残るババのカードを見つめながら


２人席の方に通路を挟んで座る幼馴染の業君の声を聞く。





周りに座る同じ班の子は苦笑いを浮かべながら絶対にババしか手元に残らない私を慰めてくれた。





ただいま。

待ちに待った修学旅行が始まり新幹線にてババ抜きをしていた、私達。




「Aちゃん、次は勝てるよ」




目の前に座りにこりと綺麗に微笑む神埼さんに元気付けられる


その言葉に、うん、と自身にできる精一杯の微笑み返した。



すると、いったん区切りをさすかのように



「飲み物買って来るけどなにがいい？」



と、立ち上がりながら言葉を続ける、神埼さん。




その言葉に並ぶように


「私も行きます」

「あ、私も」




と、奥田さんと茅野ちゃんが立ち上がる。


その流れにつられ、私もいこうと席から立とうとするが




「Aは行かなくていいよ。邪魔にしかならないから」



と、持ってきていたのであろう


大好きないちご煮オレの紙パックにささったストローから口を離しながら言葉を吐き出す、業君。





それに割り込むように



「また、そうやって素直じゃないんだから」



と、潮田君が口を挟んだ。


それと同時に付け加えながら、深町さんも行っておいで、と、笑顔を向けてくれた。




その笑顔に押されるように私も神崎さん達と飲み物を買いに歩き出した。








「そんなに傍に居たいなら一緒に行けばいいんじゃないかな」
「渚君。そんなことしたらAにきもいって思われるかもしれないじゃん」
「はあ。あ。ババ抜きの深町さんすごい可愛かったね」
「当たり前じゃん。ババ以外が手元から出て行くのをあんなに泣きそうな顔で見送るなんてそそられるよね」




「「……あ、うん」」

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