俗に言う幼馴染ってやつです【赤羽業】

△19．ぬくもり ページ21

「あっ」


溜め込まないように

と、柔らかい言葉を残しそのまま、離れていく幼馴染の遠ざかるその背中。


温かかったぬくもりが一瞬で消えていく。


名残惜しそうに熱くなる頬とは裏腹に心には寂しさが入り交じる。



幼馴染と言う名の距離。


そして、私は業君にとってただの守ってやらないとダメな対象



普通の女の子として見ては貰えない。

そう、突きつけられた現実になぜか心が苦しくなった。




彼の、背中を見えなくなるまで見送り、そのまま大部屋の方へ向かおうとした




その時



「あれ、Aちゃん？」



浴衣を華麗に着こなし長い髪の毛を一つに束ねた神崎さんが立っていた。


ばっちりと目と目があってしまい沈んで苦しくなっていた鼓動は急激に加速していった。




「あ、えっえっ。と。」


何を言っていいのかわからず、でも、何かを言わないといけない


と、いう二つの思いが重なり詰まった声が出る。



恥ずかしくなり、俯いてしまう、顔。


業君に言われた言葉に苦しくなりでも、ほかの人とはまだまともに話せない


本当にこんな自分が嫌になる。


悲しくなり自身の着ている浴衣の裾を握りしめた。



すると



「なにかあったの？」



私の横に肩を並べ話を聞くよと、優しく微笑む少女の姿が目に写った。


なぜ、思っていることがわかったのか
なんで、苦しいのが伝わったのか


驚きのあまり目を見開いて彼女の姿を見入ってしまった。




そして、バクバクとうるさい鼓動を押さえつけながら


神崎さんに

業君に言われたこと
苦しくなったこと
そして、彼に普通の女の子として見てもらいたいこと


全てを小さな自分の口で伝えた。

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