その花が咲くとき【文豪ストレイドッグス】 (ページ36)

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第三十五話ページ36

先程まで気を失っていたジョンが目を覚まし、目の前に広がる光景に驚愕する

ジョンの首にナイフを太宰はあてがう

「あれは彼女の異能力のもう一つの姿だ。

彼岸花に染み込んだ今までの血は、呪いとなって彼女の身体に染み込む

その呪いによって、自分の意思は持たない化け物と化す

あの骸は彼女の命を吸収して戦う

彼女が命尽きるまで戦い続けるんだ

だから、私たちはあの異能を使うのは反対なのだよ」

太宰は隣でAの姿を見守る中也を見上げる

中也は心底心配なようで太宰たちの会話は聞こえてないようだった

Aは苦戦していた

ラヴクラフトの身体は切っても切って再生し続ける

切り口からは彼岸花が咲き乱れ、毒が体内に入っているはずだが、あまり効いていないようであった

巨大骸の胸の中心には、意識のないAがいる

口からは大量の血が流れ、額には脂汗が流れている

手足は震えだし、Aの身体は限界に近かった

「太宰！もう限界だあいつを止めろ！」

中也は太宰に向かって叫んだ

そこで、ジョンが口を開く

「生憎だね。ああなったラヴクラフトを外部から破壊する手段なんて存在しない」

ジョンの言葉に太宰はニヤリと口角をあげる

「つまり内部からの攻撃は効く訳だ」

太宰は懐から何かのスイッチを取り出し押した

その途端、ラヴクラフトの身体に絡まれていた先程の太宰の右腕が爆発した

同時に、巨大骸は大きく刀を振り下ろした

ラヴクラフト体は二つに割れる

爆発とともに大量の彼岸花がラヴクラフトの全身を覆い、大きな爆発のように花弁が待った

それはまるで夜空に舞う血潮のようであった

先程まであった巨大なラヴクラフトの身体は跡形もなかった

そして、一体残った骸は月に向かって悲しい叫び声を上げる

巨大な右手を地面に沈める

すると離れて見ていたジョンの目の前の地面から右手が出現する

ジョンの身体を掴み握り潰そうとする

「もう、終わりだよ。」

ジョンの側にいた太宰に触れられたことで、異能が解けていく

骸の手に握る刀が消え

ジョンを掴む巨大な手も消え、そこにはボロボロになったAが残った

『だ…ざい…さん…ッツァ…』

Aは吐血しながらその場に倒れこむ

「A！」

中也は崩れるAの身体を支えた

「あのラヴクラフトが…君たちは一体」

ジョンの問いに太宰が応える

「悪い奴の敵さ」