その花が咲くとき【文豪ストレイドッグス】 (ページ19)

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第十八話ページ19

見慣れた天井

ここは拠点の自室だとAが気づくのに時間はかからなかった

身体の至る所に痛みを感じる

無理に身体を起こすと、横では椅子に座って、顔に帽子を被せ、寝ている中也がいた

ずっと診ていてくれたのだろうか…

そんな風に上司の愛情を感じながらも、右手には黒のマジックペンを握る彼女

そっとベッドから出て、起こさぬよう中也に近づく

組んでいる細長い足を、器用に跨ぎ、右手でペンを構え、左手で帽子を掴む

ゆっくりと帽子をずらす

もう少しで寝顔が見れる時、ガシッと左手を掴まれた

もちろん、それは中也の手であった

『げっ！』

驚いたAは後ろに仰け反りそうになるが、中也が腰を掴み自分の方に寄せる

何故こうなったが説明しがたいが、椅子の上で上司にだっこされる体勢になってしまったA

『お、おはようございます…』

「もう、大丈夫なのか」

『へ？』

第一声は怒鳴り声だと思っていた彼女は拍子抜けしてしまった

「身体、大丈夫なのか」

『大丈夫です』

「そうか、よかった」

中也は大事そうに彼女を抱きしめた

いきなりの出来事で混乱するA

『どうしたんですか、中也さん。頭でも打ったんですか』

「どれだけ大切な存在か気付いたんだよ。」

『よくそんな恥ずかし事、さらっと言えますね』

彼女は中也の胸を押し、距離を取り、足の上から降り、ベッドへと戻り、潜った

「なんで潜るんだ」

『なんで判らないんですか』

「まあ、いい。それより、大丈夫なら首領に報告しにいくぞ。」

中也は彼女の布団を引き剥がす

『報告？』