弐拾陸ノ物語 ページ27
炭治郎「Aさんお願いです、逝かないでっ…。」
苦笑するしかなかった。
どんなに願っても、
その願いは聞いてあげられない。
私は左手だけで
炭治郎くん、善逸くん、伊之助くんの頭、
そして木箱を撫でた。
A「炭治郎くん、
善逸くん、
伊之助くん、
…禰豆子ちゃん。
生きて。私の代わりに、鬼の居なくなった世界を見て。」
視界の端には私の鎹鴉。
私と目が合うと、何処かへ飛んでいく。
彼は私の鎹鴉として最後の仕事をするのだ。
それを見届けた私は天を仰いだ。
目の前には微かに霞んでいるが、
綺麗な青空が広がっている。
A(…眠い。凄く眠い。)
嗚呼、死ぬ瞬間とはこんな感じなのか。
身体がふわふわしてとても変な感じだ。
不思議と傷も痛くはない。
普段から死ぬために
生きているようなものだから
後悔などはないが、
強いて述べるのならば、
しのぶと杏寿郎を置いていくことは些か心残りだ。
私の部屋にある遺書とは別の二通の手紙。
鴉はそれを二人に届けに行った。
きっと二人ともこんなものを遺して、
と怒るだろう。
そんな姿が目に見えて、少しだけ口角が上がる。
だんだんと瞼が重くなってくる。
身体もなんだか軽い感じがする。
炭治郎くん達が
「逝かないで」
と泣き叫んでいるが、
死を止めることは誰にも出来ない。
A(ごめん…ごめんね。)
謝罪をしようにも、もう喋る気力もない。
私の中の炎が、
小さくなっていくのが分かった。
彼の灯してくれた炎が。
燃えていたそれは勢いを無くし、儚く消えていく。
炎が完全に消えきったとき、
まるで眠りにつくかのように、
私はゆっくりと目を閉じた。
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Shiona(プロフ) - CAORUさん» ありがとうございます。鬼滅の作品もまた作ろうと考えておりますので、読んで頂けたらと思います。 (2021年7月22日 12時) (
レス) id: 146bf73b62 (このIDを非表示/違反報告)
CAORU(プロフ) - 読んでいて泣きそうになりました... Shionaさんの他の作品も読んでみようと思います。 (2021年7月21日 8時) (レス) id: 12d0b0ce05 (このIDを非表示/違反報告)
Shiona(プロフ) - ユリさん» そう言って頂きありがとうございます。もうすぐ終わるので、最後まで見届けてくれたら嬉しいです。 (2021年7月4日 1時) (レス) id: 146bf73b62 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 続きが気になって待ち遠しいです。更新頑張ってください (2021年7月1日 18時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Shiona
| 作成日時：2021年5月10日 16時
