向日葵の咲くおうち ②【雪】 (ページ33)

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🌻

陽葵と一緒にシェアハウスに帰ると、陽葵は楽しそうに俺の会社の話をしている。

普通の会社だからこそ、こういう機会がないと中に入れてあげられないし、良かったな〜。

ま、結局俺が仕事しているところは見てもらえてないけどね？笑

その日の夜。

Aさんにお願いして陽葵の寝かしつけを代わってもらった。

陽葵の横で同期に貰った絵本を開く。

懐かしい桃太郎の話。

絵が随分と可愛くなってる気がするけど。

佐久間「むか〜しむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがいました！おじいさんは山へ柴刈りに！おばあさんは川へ洗濯に行きました！おばあさんが川で洗濯していると、どんぶらこぉ… どんぶらこおおお！と川上から大きな桃が流れてきました」

陽葵『キャハハッ！さっくんおもしろい！！！』

佐久間「え、そんなに！？笑」

めちゃくちゃ陽葵がウケてるけどとりあえず続きを読み進める。

佐久間「おばあさんはその桃を家に持ち帰りました。大きい桃なのにね！どうやって持って帰ったんだろうね？陽葵はどう思う？……桃を食べようと割ったところ、桃の中から元気な男の子が飛び出しました！子どもがいなかったおじいさんとおばあさんは大変喜んで桃から生まれた男の子に桃太郎と名付け、大事に育てました！」

俺は至って真面目に読んでるのに陽葵は寝るどころか爆笑している。

そこで部屋の扉がノックされて隣の部屋の阿部ちゃんが入ってきた。

阿部「ちょっと、さくまぁ〜」

佐久間「えっ、何！？」

阿部「陽葵寝れないよ、そんなおもしろい桃太郎じゃ。隣の部屋まで聞こえてきたんだけど。ねぇ、もう1回桃が流れてくるとこやってくれない？」

佐久間「どんぶらこぉぉぉ…どんぶらこおおお！！」

阿部「いや、手振りもあったんかい！」

陽葵『さっくん、つづき、はやく！』

佐久間「おう、任せろ！」

阿部「陽葵が夜寝なかったせいで、明日の朝起きなくてAさんとふっかに怒られても知らないよ！？」

阿部ちゃんの予想通り、陽葵が興奮して寝れなくなって、翌朝ふっかから俺が怒られた。

なんでだよ！！！俺、普通に読んでただけなのに！！！