向日葵の咲くおうち ②【雪】 (ページ13)

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たまには怒るよページ13

佐久間side

平日の夕方

早めの帰宅に成功した俺は「ただいまー！」と大きな声で帰宅を知らせた。

しかし、今日はいつもの陽葵のお迎えがない。

珍しいな〜と思いながらリビングに向かうと、そこには珍しく怒った表情の陽葵と今にも泣き出しそうなAさんがいた。

よく逆の光景は見るんだけど、このパターンは初めてで俺もびっくり。

これは一体どういう状況！？

陽葵『ママなんてだいきらい！ママなんていなくなっちゃえばいいんだ！』

『うん。陽葵…ごめん…陽葵は何も悪くないよ。ママが全部悪い。ごめんなさい。でもお友達のこと叩くのは絶対ダメなことなの。それだけは分かって？』

陽葵『やっ！ママのいうことなんてききたくない！』

おっと、事態は思ったよりも深刻なようだ。

テスト前で部活動がお休みのため帰ってきていたラウールに近づくと、こっちも半泣き状態。

落ち着かせて問いかける。

佐久間「ラウールどうしてこうなったか知ってる？」

ラウ「うん。なんかね、今日保育園でパパがいないことについてお友達になんか言われたみたいなの。それで、お友達のこと叩いちゃったらしくて……。それをAさんが叱ってたら、陽葵がパパがいないのはママのせいだって言い始めて」

佐久間「あー、そういうこと、ね」

陽葵なりにパパが天国に行っちゃったことを受け入れてるんだと思ってたけど、本当は理解できてなかったのかな？

きっとこの発言が陽葵の本心じゃないのはAさんも分かってる。

だけど、勢いでもそんな言葉は言って欲しくなかったというのが俺の正直な気持ち。

陽葵『ママきらい！！！だいっきらい！！！』

感情が抑えきれなくなったのか、繰り返し叫びながら暴れる陽葵をAさんは抱きしめながら『ごめん、ごめんね』と何度も謝っている。

俺はそんな2人に近づき陽葵をAさんから剥がした。

佐久間「Aさん、ここは俺に任せて部屋で休んで？」

『さっくんおかえりなさい。ごめんなさい。ありがとう。よろしくお願いします。ラウールくんもテスト前なのにごめんね』

ラウ「俺は大丈夫……Aさんこそ」

『私も大丈夫だから。ちょっと部屋で頭冷やしてくるね』

ラウ「あっ！Aさん！」

ラウールの声にも反応せず、Aさんは足早に自分の部屋へ向かっていった。