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テレビ局の自販機の傍に置かれたテーブルと椅子では各番組のプロデューサーやADが打ち合わせを行なっていることが多いが、今は誰もおらずしんとしていた。
大光は購入した烏龍茶をその場で開ける。
「あの」
「うわ！！」
大光の手からペットボトルが離れ、絨毯の床にビシャッと叩きつけられた。
早く拾わなくてはとしゃがむと、声の主がサッとそれを拾い上げてくれる。
随分華奢な手首に、モデルの人かなと思う。だとしても詳しくないので誰かは分からないけれど…と彼女の顔を見て驚いた。
「え、ええぇ〜！！」
先程よりも大きな声を出してしまった。
しっ、と人差し指を口の前に立てるその美少女こそ、芸能人に興味のなかった大光ですらファンクラブに入っている望月Aであった。
「わわわわ」
「…えぇ、何」
苦笑いしながら、彼女はちょうど手に持っていた真っ白なハンカチを躊躇いなく床につけて拭いた。
「佐々木大光くん」
「えっ、あの、そうっす！」
「さくの親友で、オーディション出てる」
もはや言葉も出なくなり、がくがく肯く。
一応緩んでいた彼女の顔つきが、すっと変わった。
「…何のつもりか知らないけど、今すぐ辞退してほしい」
「え？いや、ちょ…どういうことっすか」
Aがナチュラルにさく、と読んだことも意外だった。こちらの世界にいる人は、例外なく彼を下の名前で呼ぶのだ。
「さくはこの世界から縁を切るべきだよ」
「え…でも、作ちゃんは戻りたいはずなんです、絶対」
「…絶対？絶対か…」
Aはため息をつき、近くにあった机を掴んで立ち上がった。その整った顔がテレビで見るよりも疲れた印象なのは、スタジオのあの眩しい照明に照らされていないからだろうか。
「絶対なんてない。…だから相対的に、良い方を選ぶしかない。私が言ってる意味分かる？」
「一応…わかるっすけど…」
「そう、よかった。あのね、さくには何も思い出させないで。そっちのが良いの、相対的に。
全部忘れて可哀想に見えても、さくが好きなら、何も知らない親友としてそばにいてあげて。
…余計なことはせずに」
やたら最後の一言の語気が強くて、廊下を歩き出してしまったその後ろ姿に慌てて大光は聞く。
「望月さんて、作ちゃんとどういう関係だったんすか」
彼女が歩みを止める。
「……難しいな。ヒーロー？」
「ヒーロー？」
「うん。やっぱり、ヒーロー。
さくは私の、ヒーローだよ」
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LIKKA(プロフ) - みよさん» コメントありがとうございます…リトかんハマりかけてます。初っ端からクセの強い役で申し訳ないです（笑） (2020年8月7日 1時) (
レス) id: 39c1d8fd7b (このIDを非表示/違反報告)
みよ(プロフ) - まさかのにしたくの登場に興奮しています笑 (2020年8月7日 1時) (レス) id: 9238d6c588 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：LIKKA | 作成日時：2020年8月6日 21時
