008 ページ8
.
「龍がなにも喋んない理由、分かった。
ここで岸くんに聞いてもらってたからだ」
「え？いやあ…そうかな？」
「絶対そうだって。俺も高校で信用できたの岸くんだけだったし」
「えぇ！？お前、友達沢山いたじゃん！」
「…いや、ああいうのは友達って言わないんじゃないの。Dreamingなってから皆連絡してきてさ、笑っちゃったよ。
岸くん、一回もメールして来なかったよね」
「あぁ…いや。だって、芸能人に連絡先聞くのってなんか、あれじゃん」
「そゆとこだって。ほんと、良い」
何が“良い”のかはわからなかったが、紫耀の形の良い唇がくくっ、と楽しそうに歪んだ。
紫耀といい龍斗といい、Dreamingは容姿の良いメンバーばかりを集めている。アイドルだし、当たり前か。
岸くんとしては大光もかなり良い線をいってると思うのだが、生意気なくせに人見知りだし、何よりも今はダンスに夢中で興味が無さそうだ。
「…でさ、お願いがあるんだ」
「うん。何？」
「岸くん、店やる気ない？」
「…は？」
紫耀はDreamingのメンバーたちが何をしても受け入れてくれる場所が必要なのではないかと言う。
「…事務所は色々言うだけで何もやっちゃくれないからね。相談相手に女作ろうもんなら怒られるし、酒飲むにも誰が見てるか分かったもんじゃないし…」
「いや、ちょ、ちょ待って。店やるのって、大変じゃね？どーすんの。てか俺、金無いよ？」
「大丈夫。マンション借りて、岸くんは料理して話し相手になってくれたら、いいの。
勿論タダでとは言わないよ」
紫耀がぴっと指をピースサインに開いた。
「…ええ、大卒の初任給並みじゃん！」
「いや、なわけないじゃん。ゼロ1個足りてないよ」
「…年間？」
「違うって、月だよ。月200。
もち、家賃とかは別だけど…足りる？」
「いやいや、俺そんな貰えねえって！」
「…これは、信用代…って言うのかな。
俺らにとって、絶対にここなら安心できる、っていう場所はそれくらい出しても必要なんだよ」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 150人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
LIKKA(プロフ) - →いつも励まされております。これからも未熟ですが楽しんでいただけたら感無量です。 (2020年5月28日 0時) (
レス) id: 39c1d8fd7b (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - 呑さん» いつもありがとうございます！また勿体なきお言葉を…岸くん確かに何気に初ですね、今回メンカラ紫祭りです。アイムドール、本当にすみませんでした。続き書こうと思っていたのですが事情があってちょっと変化させました。それでも楽しんでくださって→ (2020年5月28日 0時) (レス) id: 39c1d8fd7b (このIDを非表示/違反報告)
呑(プロフ) - LIKKAさんのお話は全部苦しいくらいに好きで好きで仕方ないのですが、このお話本当に大好きです。個人的にLIKKAさんの初岸くんに歓喜しております。アイムドールもドキドキしながら読んでいたので、そのドキドキを拾って頂いた気がしてます。大好きです！！！ (2020年5月27日 23時) (レス) id: 2d1b1a1819 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：LIKKA | 作成日時：2020年5月23日 1時
