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雄登が欲しいものは全て、龍斗が持っている。
全て持っているくせに、支配される孤独に苦しんでいる。
彼への憧れはいつしか、憎しみに変わっていた。
「お前は、なんで全部持ってるんだ…！」
全てを忘れた龍斗に言っても意味はないと知っている。
けれど前の彼には言えそうもなかった。
ただ遠ざけて、強がるのが精一杯だった。
「少しくらい、俺にくれたっていいだろ…？」
そっと龍斗の手が伸びてきて、雄登の頬を撫でた。
ようやく自分が泣いていたことに気付く。
「…あげるよ、全部あげる。だからもう、泣かないで」
「お前…もう、いいのか？ドラマは？望月は？」
「…いい。覚えてないから。
でも、もし僕が思い出したら、全部返してくれる。那須くんって、そういう人でしょ」
彼の胸ぐらを掴んでいた手を離す。
ああ、自分は見透かされているのか。
あるいは記憶をなくす前の龍斗も、雄登の本心を？
「また来てね。…来たかったら」
靴を履く雄登の背中にそう言った龍斗を振り向く。
今まで見たこともないほど、穏やかに微笑んでいた。
彼の部屋を出て、ドアから垂れるチェーンの先端を躊躇いながら手に取った。
全てを悟ったかのように落ち着いていた彼を思いながら。
けれど雄登はゆっくりと、ドア枠に取り付けられたフレームにチェーンの先を差し込む。
雄登の弱さが、ジャラリと重たく垂れて音もなく揺れた。
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ありがとうございました！
移行いたします。
長くなりますが、引き続きよろしくお願い致します。
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LIKKA(プロフ) - →いつも励まされております。これからも未熟ですが楽しんでいただけたら感無量です。 (2020年5月28日 0時) (
レス) id: 39c1d8fd7b (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - 呑さん» いつもありがとうございます！また勿体なきお言葉を…岸くん確かに何気に初ですね、今回メンカラ紫祭りです。アイムドール、本当にすみませんでした。続き書こうと思っていたのですが事情があってちょっと変化させました。それでも楽しんでくださって→ (2020年5月28日 0時) (レス) id: 39c1d8fd7b (このIDを非表示/違反報告)
呑(プロフ) - LIKKAさんのお話は全部苦しいくらいに好きで好きで仕方ないのですが、このお話本当に大好きです。個人的にLIKKAさんの初岸くんに歓喜しております。アイムドールもドキドキしながら読んでいたので、そのドキドキを拾って頂いた気がしてます。大好きです！！！ (2020年5月27日 23時) (レス) id: 2d1b1a1819 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：LIKKA | 作成日時：2020年5月23日 1時
