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チャイムを押すと、龍斗が内側からドアを開けてくれた。
「…入っても？」
「どうぞ」
雄登は自分と同じ間取りの部屋を見渡す。どことなく埃っぽい。初めて入ったからなんとも言い難いが、元は綺麗に片付いていたのだろう。
「…これ」
「あ。ありがとう、これ好き」
岸くんから受け取ったポテトサラダを嬉しそうに開封し早速スプーンを挿す龍斗を見、彼は本当に全て忘れてしまっているのだと実感する。
彼が炭水化物を口にしているところを見るのは初めてだった。決して太りやすい方ではないが、周りに節制している人が多いから気を遣っているのだといつか聞いた。
龍は優しいんですよ、と雄登が加入した時にはもう卒業が決まっていた紫耀が、インタビューでそう話していた。
優しさを見せないところが優しいんです、と。
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「那須くん」
はっと顔を上げると、龍斗が真っ直ぐに自分を見ていた。
「なに？」
「僕たち、仲良かったよね…那須くんとのトーク履歴だけ、見つからないんだ」
そう、ソファに座る龍斗が膝に置いたパソコンをスクロールした。スマホは記憶を失ってすぐに紛失したようで、彼はパソコンに残っていたLINEのバックアップを遡っているらしい。
「…仲良かったって、何見て思ったんだよ」
「あ…あの愛Dreamingっていう番組とか…」
「…あれは、フェイクだ。ドラマみたいなもん。
俺たちは望まれる姿を演じてただけ。
仲良くなんかなかった」
「でも…那須くん、喋ってない時も僕のことよく見てるし…痛っ」
思わず、彼に掴みかかっていた。
ソファの肘掛に彼の頭がぶつかり、ノートパソコンが絨毯の上にすべり落ちた。
「…見てなんかない！俺はずっと、ずっとお前が…」
「何…僕が何？」
ずっと、龍斗が羨ましかった。彼に憧れていた。
俳優が夢だったのにDreaming加入を決心したのは、演技を評価されている龍斗がいたからだ。
加入してみると、龍斗にあるのは演技力だけではないと気付かされた。そつのないパフォーマンスでメンバー全員に一目置かれ、名門大の附属高校の学生でもあった。
慣れないアイドル業に四苦八苦する中出席日数に厳しい進学校は退学せざるを得ず、結局飛貴の通う芸能科のある高校に編入した雄登がそこで一目惚れした望月A、彼女までもが龍斗のものだった。
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LIKKA(プロフ) - →いつも励まされております。これからも未熟ですが楽しんでいただけたら感無量です。 (2020年5月28日 0時) (
レス) id: 39c1d8fd7b (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - 呑さん» いつもありがとうございます！また勿体なきお言葉を…岸くん確かに何気に初ですね、今回メンカラ紫祭りです。アイムドール、本当にすみませんでした。続き書こうと思っていたのですが事情があってちょっと変化させました。それでも楽しんでくださって→ (2020年5月28日 0時) (レス) id: 39c1d8fd7b (このIDを非表示/違反報告)
呑(プロフ) - LIKKAさんのお話は全部苦しいくらいに好きで好きで仕方ないのですが、このお話本当に大好きです。個人的にLIKKAさんの初岸くんに歓喜しております。アイムドールもドキドキしながら読んでいたので、そのドキドキを拾って頂いた気がしてます。大好きです！！！ (2020年5月27日 23時) (レス) id: 2d1b1a1819 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：LIKKA | 作成日時：2020年5月23日 1時
