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朝8時過ぎに”きし”の母屋のインターフォンが鳴ると、大抵それは龍斗。
というのは岸くん調べだが、岸くんが調べるまでもなく龍斗なのであった。
制服を着てランドセルを身に付け、もう何十回と繰り返して来たことなのに俯いて現れる彼を、岸くんは一度も追い返したことはない。
幼い頃からレッスンに収録に、と普通の子供とはかなり違う生活を送っていた龍斗は学校に友達がいないらしい。
度々家を出て、そのまま駅には向かわず“きし”へやって来る龍斗の兄を名乗って学校に電話を入れてやるのが岸くんの役目だ。
大光にもママにも言わないで、と頼まれたのでその約束をずっと守っているが、つくづくよくバレないな、とカウンターで勉強している龍斗をじっと眺めた。
「…なに、岸くん？」
「あっいや、ごめん。
あの…その、なんで大光に言わないのかなって。
そりゃ、作ちゃんがそうしたいんなら良いけど。
ほら、親友でしょ、きみたち」
「あぁ…」
ドリルから顔を上げ、龍斗は暫く考えた。
「…親友だからかな。親友だから、言わないんだよ」
なんでも言い合えるのが親友、だと思っている岸くんは首を傾げる。
「じゃあ、そろそろ行くね」
「えっ、早くない？」
「今日は昼休みに早退するから、給食だけ食べに行く。こういうことするから、友達できないんだろうけど」
「そぉんな寂しいこと言うなよ〜！絶対…」
龍斗の涼しい、けど鋭い眼差しが岸くんを貫いた。
「…絶対、何？」
岸くんは言葉に詰まる。これが小学生の目なのか。
確かに絶対などないが、それは大人の世界の話。
けれど既に彼は、子供なら持っていて当たり前の一縷の望みさえ無い世界に生きている。
「…絶対、大光は作ちゃんの親友だよ」
龍斗は「そうだね」と見慣れた顔で微笑み、“きし”を出て行った。
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LIKKA(プロフ) - →いつも励まされております。これからも未熟ですが楽しんでいただけたら感無量です。 (2020年5月28日 0時) (
レス) id: 39c1d8fd7b (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - 呑さん» いつもありがとうございます！また勿体なきお言葉を…岸くん確かに何気に初ですね、今回メンカラ紫祭りです。アイムドール、本当にすみませんでした。続き書こうと思っていたのですが事情があってちょっと変化させました。それでも楽しんでくださって→ (2020年5月28日 0時) (レス) id: 39c1d8fd7b (このIDを非表示/違反報告)
呑(プロフ) - LIKKAさんのお話は全部苦しいくらいに好きで好きで仕方ないのですが、このお話本当に大好きです。個人的にLIKKAさんの初岸くんに歓喜しております。アイムドールもドキドキしながら読んでいたので、そのドキドキを拾って頂いた気がしてます。大好きです！！！ (2020年5月27日 23時) (レス) id: 2d1b1a1819 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：LIKKA | 作成日時：2020年5月23日 1時
