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どうして、笑ってくれないの？
大光は思い切って龍斗の肩を掴んだ。
「作ちゃん…お仕事中？」
「…さく、ちゃん？それ…僕？」
「そうだよ…てか、俺のこと覚えてないの？」
「……誰？」
泣きそうになった。
こんなひどい仕事をさせるのはどこのテレビ局か知らないが、大光の心を傷つけた時点でもうお蔵入り決定だ。たとえソンガイバイショーだとかホショーキンとか言われたって絶対に勝つ。
こんなの龍斗だってきっと心苦しいだろう。
「もう…撮らないでくださいっ」
買ったばかりの大きめのパーカーで龍斗を包み、フードを目深に被らせた。無理やり手を引いて輪から連れ出す。
「作ちゃん、行こう」
「え…」
幸い龍斗も大光も脚が速い。
撮影終了と捉えたのか、野次馬たちはあまり追いかけて来ようとはしなかった。裏路地に入ってしばらく待ったが、逆にスタッフもカメラも追ってこない。
上を見たがドローンもなかった。
「…作ちゃん、ちょっと、ごめん」
白いカットソーと黒のパンツ。
学校用のローファーを裸足に直接履いている、そのどこにもマイクが付いていない。
ああそうか、手ぶらだったから撮影のように見えたんだと、妙なところで腑に落ちている。
「作ちゃん、なんかの撮影じゃないの？」
「……さっきから、なんですか。あなた、僕の知り合い…、ですか」
「え…いや、何言ってんの作ちゃん。俺、佐々木大光だよ？」
「たいこ…？」
「やだな、ほんと作ちゃん、マッジで演技上手いじゃん。
ドッキリ？俺のために？壮大すぎだって！」
「演技？ドッキリ…？ちょっと、何のことか…」
それを聞いた大光の目から、ぽろっと涙が零れた。
「…なんで、泣くんですか？」
「…誰？誰だよ、俺の知ってる作ちゃんじゃない…」
「…僕も、わかりません。
僕は、誰なんですか？あれは、僕ですか？」
あの広告はここからも見える。
衣装に身を包み、王子様のように微笑む龍斗。
大光は縋るように龍斗の胸元を掴んで訴える。
「あれ作ちゃんだよ、ねえ、覚えてないの？
この前のコンサートの…！」
「…コンサート？」
信じたかった可能性はひとつひとつ、消えていく。
1番辿り着きたくなかった答えが浮かび上がってくる。
「……助けて、岸くん…」
震える指で、大光は岸くんの番号を押した。
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LIKKA(プロフ) - →いつも励まされております。これからも未熟ですが楽しんでいただけたら感無量です。 (2020年5月28日 0時) (
レス) id: 39c1d8fd7b (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - 呑さん» いつもありがとうございます！また勿体なきお言葉を…岸くん確かに何気に初ですね、今回メンカラ紫祭りです。アイムドール、本当にすみませんでした。続き書こうと思っていたのですが事情があってちょっと変化させました。それでも楽しんでくださって→ (2020年5月28日 0時) (レス) id: 39c1d8fd7b (このIDを非表示/違反報告)
呑(プロフ) - LIKKAさんのお話は全部苦しいくらいに好きで好きで仕方ないのですが、このお話本当に大好きです。個人的にLIKKAさんの初岸くんに歓喜しております。アイムドールもドキドキしながら読んでいたので、そのドキドキを拾って頂いた気がしてます。大好きです！！！ (2020年5月27日 23時) (レス) id: 2d1b1a1819 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：LIKKA | 作成日時：2020年5月23日 1時
