妄想その８ ページ8
私はくらくらの頭で大広間を出た。
しっかし、でかいホテルだなー。信じられる？ 広すぎて向こう側まで見えないよ？
…なんかムカつく。
『えっと、一番奥の部屋の…』
私がスプーンを隠したのは、この階の一番奥の使われてない部屋。バレなくてよかった〜
ポケットにしまってあったカギ(盗んだ)でドアを開けて、入れておいた大きな箱を出す。
まったく…ひとりひとりの部屋でスプーン探すの大変だったんだから。
全部合わせると結構重たいし。
……喉かわいたな。
なんか持ってなかったっけなー？ うーんと…
あ！ これでいいや。
私が手に取ったのは、ヨハネスにもらった緑のビン。
どうせ大したのでもないだろうし、有毒でもないだろうし。多分。
『あー、桜真と桜椿の三角関係とかなんないかなー。イチャ甘の桜椿オチで』
そんなことを呟いてビンの中身をあおる。…あんまり味しないなこれ。
…あれ？ 何か今…光った？
え？ 異世界転生…とか？ ……無いか。
なんだったんだろ、まあいいか。
大広間に戻ろうと廊下を曲がると、部屋の前に人影が見えた。誰だろ？
もう少し近づくと、それが椿だと分かった。何してるんだろこんなとこで。
……ん？ あれ？
………………もしかして、泣いてるっ？！
椿「…ｸﾞｽ 桜哉……」
え、嘘嘘嘘、え？ ねえマジ？
とりあえず、椿の視線の先を辿ってみる。
えーと、真昼と桜哉がめっちゃ恋人の距離で会話してる。うれしい。
じゃなくて！ 桜哉の手に何か…クッキーかな？ 手作りらしいお菓子がある。
て！ ハート型じゃんそれ！ いやいやいやマジか。おいマジか。
んで？ 椿が持ってるのは…かわいい小袋。
――――――ハッ！ 今なんか腐女子レーダーにビビッときた！
これは椿が桜哉のために必死に頑張ってお菓子作りしたのに最強主夫の真昼に超ハイクオリティー見せつけられてひとりで渡すに渡せずヘコんじゃってるとかいう激カワな話！？
んなわけないか。妄想だしな。
桜「真昼ありがと、これめっちゃうまい！」
真「桜哉に気に入ってもらえてよかった！ また作るから楽しみにしててな？」
椿「……やっぱり、城田真昼のほうがいいよね………」
真「桜哉、大好き」ﾎﾞｿ)
桜「？ 真昼何か言った？」
真「う！ううん別に！」
椿「桜哉…だいすき……」
嘘でしょ、え？ これってもしかして
――――――私の妄想が現実になってるっ！？！？！？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハル | 作成日時：2017年4月8日 19時
