22 ページ22
.
普段はずっと涼と授業も全部同じものを取っているけど、さすがに必修のクラス分けまでは同じになれず、無愛想な俺はひとりだった。
そしてそんなひとりの授業が早めに終わってしまい、
次の授業まで時間ができてしまった。
………帰れるなら早く終わるの助かるけど、
次授業あるからありがた迷惑なんだよなあ。
涼の授業も終わってなさそうだし、
仕方なく図書館で時間を潰すことにした。
.
窓際のコンセントのあるカウンター席へむかうと、
ふとAの後ろ姿が目にはいって、心の準備をしていなかったから、思わず足を止めた。
………話し、かけてもいいかな。
柄にもなくバクバクうるさい心臓に気づかないふりをしながら、勉強するAの肩を叩く。
「あ」
瑞稀「こんにちは」
「勉強?偉いね」
瑞稀「んーん、早く終わったから、充電」
携帯を見せると、呆れたように笑った。
瑞稀「あ、隣いいですか?」
「あ、うん」
広がっていた本やノートをまとめてくれたから、
Aの左隣に座る。
瑞稀「A………さんは、何の勉強ですか?」
「2年生の必修のやつ。井上くんも来年やることになると思うよ」
瑞稀「ふうん………」
Aのプリントを覗きこむと、
星の名前とか動きかたが詳しく書き込まれていた。
瑞稀「うわ、ダルそ、」
顔を上げた時、思った以上にAの顔が近くにあって、思わず固まってしまった。
「………」
瑞稀「………ダルそう。俺できないかも」
慌てて顔を背けるけど………やべえ、絶対赤い。
こんな近くでAの顔を見たのは、
何年も前の話だし………それに。
Aの成長に、昔は感じてなかった、「女の人」という部分を急に実感させられて、冷静を装っているけど、心臓はうるさかった。
「………瑞稀」
瑞稀「え?」
「………………くん」
久しぶりに呼ばれたAからの名前に、
びっくりしてAを見つめると、何かを考えるように目線を落としながら口を開いた。
「って、呼んでもいい、かな」
瑞稀「っ、うん」
「………ありがとう。瑞稀くん……も敬語使わなくていいから」
瑞稀「ね、………涼のことも、名前で呼んであげて」
「………わかった」
………ねえ、君はいま何を思って俺の名前を呼んだの?
なんて、聞けるはずもなく、ペンを走らすAの手元を見つめていた。
.
1181人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「HiHiJets」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
神ちゃん愛ing - 初コメ失礼します。涼君と瑞稀君の一途さがめっちゃ切ないし、キュンキュンします!!更新楽しみにして待ってます!! (2018年10月22日 23時) (レス) id: bdc8cbeed4 (このIDを非表示/違反報告)
J7BR(プロフ) - めっちゃキュンキュンするし、切ないし、続きが読みたくなります!!更新頑張ってください(*^^*) (2018年10月20日 13時) (レス) id: 0f3307a83f (このIDを非表示/違反報告)
saku(プロフ) - ポップコーンさん» コメントありがとうございます。たったいまポップコーンさんの作品を読んでいたのでコメント来ててびっくりしちゃいました( ; ; )!嬉しいです!更新がんばります。ありがとうございます! (2018年10月11日 20時) (レス) id: a83f71fbfd (このIDを非表示/違反報告)
ポップコーン(プロフ) - 涼くんの真っ直ぐさも大好きなのですが、瑞稀くんの切なさが…ぐさぐさきます…龍斗くんの闇堕ち感ハマっちゃいます!!!!更新楽しみにしています! (2018年10月11日 8時) (レス) id: af868719a5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:saku | 作成日時:2018年10月3日 0時