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図書カウンターに座って、雨の日だからか、いつもより人の多い図書館を見回す。
わたしも本読みたいけど、カウンター空けられないし。
はやくもうひとり来てくれないかな。
頬杖をつきながら待っていると、
当番の時間から15分くらい遅れて、男の子がカウンターに入ってきた。
「すみません………遅れました」
「あ、いえ。大丈夫です」
「提出物………出すの忘れてて」
「あ、そうなんですか」
遅刻の理由話すなんて、真面目な子だなあ。
チラッと男の子をみると、
申し訳なさそうな顔でもじもじと立っていた。
深緑のネクタイ………1年生かあ。
「………気にしなくていいよ。全然大丈夫だから。あ、わたし借りたい本あるから、カウンター少しだけ任せてもいいですか?」
「………はい!」
わたしが怒ってないとわかったのか、
やっと緊張の解けた顔で笑った。
………わたし、そんなに怖いかな。
ちょっとショックを受けながら、カウンターをでて、気になっている本がある棚へ向かった。
………あ、あった。これこれ。
短編集だから、短い時間でも読みやすいはず。
ワクワクしながらカウンターへ戻ると、当番の1年生と目があった。
「………お待たせしました」
何も言わないのはちょっとな、と思って、とりあえず声をかけると、話しかけられると思ってなかったのか、その子は、ピクリと目を見開いた。
「あ………はい」
うっわ………やってしまった。
めちゃめちゃ微妙な空気になっちゃった。
声なんてかけなきゃよかった。
後悔しながらカウンターに戻って本を読み始める………………………って、すっごい視線感じるんだけど。
「………あの」
「あ、いや、ごめんなさい」
「いや、いいんだけど………なんかついてる?」
「あ、違います!その………………あ、その本、俺も気になってて、」
「そうなの?この作者さん、素敵だよね。表現とか、なんていうか凄い響くし」
「………ふふ、ですね」
柔らかく笑うその子を、初めてちゃんと視界にいれた。
「え………」
思わず声が出てしまうほど、彼は、似ていた。
アーモンド型の瞳、纏う雰囲気、何が、とはいいづらいけど、彼の全てが、顕嵐先輩に似ていた。
大きな違いは、年下ってことだけ。
固まったわたしをみて、目の前の彼は、きょとんとした顔をした。
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作間ナナコ - こんなに胸がときめく恋愛小説ははじめてです。HiHi Jets5人とその他の登場人物との関係性や、主人公が見る景色、感情全てが自分の思いと重なり、感動しました!特に甲子園のシーンは気持ちが入って思わず涙が出てしまいました。この小説に出会えてよかったです! (2019年4月4日 2時) (レス) id: 012e34ef65 (このIDを非表示/違反報告)
HiHi Jetsとsexy美少年が大好きな女の子 - 作ちゃんとのデートとかマジで最高じゃん!!しかもゆうぴーは私の幼馴染で中学生の頃にゆうぴーが私のことが好きで、でも私は顕嵐くんのことを憧れててでも、作ちゃんが私のことが好きで、祭りに誘ってくれてそれで何日か経った後に作ちゃんが告られなんて幸せものなの (2019年1月26日 17時) (レス) id: 223725d32c (このIDを非表示/違反報告)
saku(プロフ) - Melody.*☆さん» コメントありがとうございます。作間くんのかっこいい部分と可愛い部分を引き出せたならよかったです!新作も頑張ります。ありがとうございました! (2018年9月20日 0時) (レス) id: a83f71fbfd (このIDを非表示/違反報告)
Melody.*☆(プロフ) - 完結おめでとうございます!!主人公の子に一途に恋する龍斗くんが本当に可愛かったし、カッコ良かったです!!素晴らしい作品に出会えて良かったです!!新作も楽しく読ませていただきます!! (2018年9月19日 22時) (レス) id: c3f50f20db (このIDを非表示/違反報告)
saku(プロフ) - 姫華さん» コメントありがとうございます。たくさん褒めていただき、とっても嬉しいです!励みになります。これからも頑張ります。ありがとうございました! (2018年9月19日 1時) (レス) id: a83f71fbfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:saku | 作成日時:2018年9月8日 13時