恋愛対象外

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「先輩………中村Aさん？」


「え……」





びっくりしすぎて、思わず言葉を失った。

なんで知ってるの、とか、そんなことも言えなくて、
多分相当間抜けな顔で、後輩くんを見つめていた。





「いや、固まりすぎ！ちょっと聞いたことあるだけです」


「あ、え、そうなんだ………？」


「あ、ごめんなさい。先輩は俺らのこと知らないですもんね。怖いか！」





ごめんなさい！ともう一度謝ると、
ピンっと背筋を伸ばして、またあの顔で笑った。




「2年3組、橋本涼です。よろしくお願いします！」


「はしもと、りょう………くん」




………知らない。よね？
優斗の後輩とか？いやでもそしたらさっさと部活行くもんね。ていうか前髪長い！絶対野球部じゃない！




涼「ほら、瑞稀も挨拶しろよ」


瑞稀「ハイハイ。………どーも、井上瑞稀です」





………ぜんっぜんしらない。

けど、なんかこの瑞稀って子、怖い。
笑ってるけど目の奥が笑ってないもん！





涼「俺らのことは好きなように呼んでください！A先輩！」




A先輩………！？
何この子………、本当に、怖い。


そんなわたしの恐怖をよそに、
後輩くん………改め橋本くんはニコニコ笑ってる。




何を考えてるのか全くわからないけど、
とにかく今は早くここから逃げたくて、わたしは何度か頷いた。





「………わかった。橋本くんと井上くん。よろしくお願いします」





ぺこりと頭を下げて、今度こそ「じゃあまた」と言って早足で教室を飛び出た。






………やっぱり、年下は苦手だ。



特に、橋本くんみたいな、距離感が近い人は尚更。





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