恋愛対象外

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「優斗ナイス！」




グラウンドに鳴り響いたボールがバットに当たる音と、
俺の………憧れの人の名前。



足を止めて声のほうを見ると、
爽やかな汗を流しながら仲間たちとハイタッチするその人がいた。




「優斗調子いいじゃん！」


優斗「まあな！」




嫌みの無い笑顔。
みんなを惹き付けるキャラクター。




作間「あの人になれたら、なあ」




Aさんに、りゅうと、と呼んで貰えるのか。

雨の日に、同じ傘で帰れるのか。

無言の空間さえ、心地よくなるのだろうか。





もっと………Aさんに近づきたい。





そんな願いを心のなかで呟いて、止めた足を動かす。





涼「さーくーちゃんっ」


作間「はしもっちゃん、おはよ」


涼「橋本くん、だろ？」


作間「今更無理だから」


涼「あはは、だよな。………あ、高橋優斗先輩じゃん」




グラウンドをみたはしもっちゃんは、丸い瞳をきゅるきゅると動かしながら、さっき俺が見ていたほうを指差した。




作間「………知ってるー」


涼「うっわ、嫉妬だだもれ〜！かっこわるいぞ！」


作間「うるさいなあ、嫉妬じゃないし、憧れ！」


涼「強がっちゃってー。そろそろ俺らもさくちゃんのために一肌脱ぎますか」


作間「もー、そういうのいいって」


涼「いいからいいから」




俺らを信じて！って、いつもみたいに肩を組む。

………嬉しいけど、そんな簡単じゃないと思う、Aさんは。





はあ、とため息を吐くと同時に、また空にボールが飛んでいく音がした。






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