赤の癒しの姫 (ページ47)

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Episode43 ページ47

Episode43

背を向けた尊の背中を黙って見詰めるアンナAの手をそっと離し二人の会話を聞いていた

出雲｢せやな､年取ると過去に縋りつこうとしてあかんわ｣

そう言って立ち上がり3人の方を向き口を開いた

出雲｢アンナ､一緒に来ぃ｣

其の声に反応し起き上がるアンナ

出雲｢尊はこれから野暮用や｣

アンナ｢…うん｣

小さく頷いたアンナ
Aは尊達の動きに気付きそっと目を開けた
出雲がアンナを地面へ降ろしてやり尊とAを見詰めた

出雲｢お前にお客さんや｣

黙って其れを聞きその場から起き上がりAを見詰め
髪をそっと優しく撫でてやり岩から降りてゆっくり歩を進める尊を見詰める3人。
Aも起き上がり遠ざかる尊の背中を見詰め
夢と重なる所を思い自分も降りアンナと目を合わせ
2人でした大切な“約束”を守りに行く為に尊を後をついて行った

出雲はその2人の背中を見詰め筒口を開いた

出雲｢ほいでも､お前は最高の王や｣

その囁きはこの場にそっと雪と共に消えていった

-Aside-

ゆっくり長い階段を登って行く尊の後ろをただ黙って着いていく僕｡
上の方をふと見ると､見知った顔が僕らを見詰めていた

僕はそれを見て気付いたんだ｡
礼司が尊を…と｡

尊も気付いたのか一瞬立ち止まった
微かに笑みを浮かべまた登り始めた

尊｢俺と同じ空気を吸うと反吐が出るんじゃなかったのか?｣

礼司｢たまには毒気も吸いたくなるものです｣

そう言って懐から煙草を出し一本咥え
尊にも1本差し出す礼司｡

其れを受け取り咥えた尊｡
僕は2人のやり取りを後ろでただただ黙って見詰めていた

ライターを探す礼司の煙草にそっと火をつける尊を
見詰め少し心がぽかぽかした｡

そして尊は礼司のいる所より少し上の階段へ腰掛けた
僕はそのすぐ近くへ行きちょこんと座り込んだ

礼司｢単刀直入に言おう｣

尊｢ん?｣

礼司｢穏便にこの学校を空け渡せ
無関係な高校生を巻き込むやり方は見過ごす訳には行かない

今なら手を回して大事にせずに収めることが出来る｣

尊｢…良いアイディアだ、
とでも､言うと思ったか?｣

礼司｢アイディアじゃない､最終通告だ
お前がやり過ぎたんだよ、周防
ならば､せめて無色の王を名乗る十束多々良及び月宮A殺害未遂の犯人は俺の手で殺させる｣

尊｢…｣

礼司｢それさえ飲んでくれればお前の望むようなやり方で惨殺してやる｣

其れを聞いた尊は微かに笑みを浮かべた

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