赤の癒しの姫 (ページ35)

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Episode32 ページ35

ｰEpisode32ｰ

A｢…ねぇ…そろそろその物騒な物…しまってよ｣

狗朗｢貴様には関係の無い事だ…｣

A｢…社…こっち来て…｣

Aは社を庇う様に立った
社は自分より小さい少女がとても大きく見えた

狗朗｢何故そいつを庇う…貴様に何の得がある｣

A｢さぁ…何かこの人を失っちゃいけない気がするから
それに…今のこの人僕が会った人とは全然違う人だからね｣

狗朗｢…どういう事だ…？｣

A｢そんなの僕にだって分かるわけない
だから、確かめる…っ｣

Aは一瞬顔を歪めるがすぐ戻し
少しずつ後ろへ下がっていた

A｢だから、今は見逃してよ。｣

社｢…っ｣

狗朗｢…｣

A｢…黙られると困るんだけど…｣

狗朗｢ここで確かめろ｣

A｢…僕ね、命令されるの…大嫌いなんだ｣

そう言ってドアを開け社の手を引きドアの中へ逃げ込み
鍵を閉めて下へ急いで下りて行った

社｢ねぇっ！A！どこに逃げるの？！｣

A｢っ…！考えて無かった｣

社｢…確かめるって…何をするの？｣

A｢…あ、あそこ…｣

人通りの少ない路地に入り
Aは社に向き合った

A｢…少ししゃがんで｣

社｢う、うん…｣

社はAと同じくらいの背になるようにしゃがんだ
Aはそれを確認するとそっと相手の顔を包み
おでこをくっつけた…

A｢…この前の人はこんな事出来るはずがないね
君は…社は違う人なのかな…でも…っ｣

Aはまた顔を歪めたそれを見た社

社｢A…さっきもだけど…どうかしたの？｣

A｢……傷口開いたっ…｣

Aはちらっと白い小さな猫を見た

A｢…君…綺麗な色してる…｣

柔らかく微笑み立ち上がって

A｢僕はもう帰るよ…みんなが心配しそうだし｣

そして社に“またね”と告げその場を後にして
BARへ向かい

A｢勝手に出てきたの…怒られちゃうかな…｣

だが…Aは少し寄り道をした
そこは…少女が尊、出雲、多々良に出会って拾われた場所

A｢尊…｣

誰にも見せない様にいつもここで寂しさや
苦しみ、涙はここで零す…
これがAの中で当たり前だったのだ
みんなには心配かけたくない…あまりそういう感情を
みんなには見せないようにしていた
だが…

尊、出雲、多々良には絶対にバレてしまう

A｢尊…僕起きたよ…ちゃんと…
ねぇ…早く帰ってきてよ…頭撫でてよ…｣

少女は小さく震えた…

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